2020年のF1世界選手権の前半9戦で新型コロナウイルスの検査が4万4101回実施されたが、陽性反応は9件しか出なかった。当初計画されていた3月にF1オーストラリアGPは、マクラーレンのチームメンバーに新型コロナウイルスの感染者ができたことで土壇場でキャンセルになり、その後、感染は世界中に広がった。
F1とFIA(国際自動車連盟)は、20220年のF1世界選手権を一旦白紙化。ヨーロッパを中心とした改訂版のカレンダーと新型コロナウイルス対策の一連のルールを作成した。これには、新型コロナウイルス感染のリスクを経験し、陽性反応が出た場合の拡散を制限する手順などが含まれた。ドライバーとチームは、外部と隔離されたバブルとサブバブルに留まり、パドックへのアクセスも制限された。テレビクルーは約12人となり、撮影ゾーンも指定。ジャーナリストも限られた数しか呼ばれず、机は離され、記者会見はすべてバーチャルで開催。カメラマンはトラックサイドもしくはチーム内のどちらかでしか撮影が制限された。政府の規制に応じて、一部のイベントはF1スタッフはサーキット以外ではホテル内に留まることが義務付けられ、常に移動は個人で行われた。ハンガリーでは英国を拠点とするスタッフの行動は厳しく制限され、違反者は罰金が科せられた。それは西ヨーロッパ外で開催される今週末のF1ロシアGPでも適用される。一部のF1組織はフライトをチャーターしたが、最近のラウンドでは緩和と商業的な活動がいくらか戻ってきた。開幕6戦ではモーターホームは禁止されたが、F1ベルギーGPから復活。これはホスピタリティとケータリングの外部委託がコストを圧迫していたことも原因となった。可能な場合はソーシャルディスタンスをとり、ハンドジェルが広く利用されるようになった。会場への出入りやアクセスルーロは、異なるグループが交わらないように設計され、入場時には体温測定が行われている。パドック全体がマクスの着用を義務付けられているが、ジャナリストが机に座っているときのみ外すことが許可される。グランプリに参加する全員が新型コロナウイルスの行動規範に署名し、各イベントの前にアドバイスとガイドラインを含む複数ページのドキュメントが全員に電子メールで送信される。プロファイル1に分類された参加者は、新型コロナウイルスの検査を5日ごとに実行する必要がある。結果は翌日に返され、イベントの開始前の96時間以内に陰性結果を提供する必要がある。これまでのところ、民間企業のEurofinsが新型コロナウイルス検査を実施しており、各チームの個別ブースを含め、各会場に複数の検査場が設置されている。スキャン可能なQRコードにより、データベースが常に更新される。ヨーロッパの6か国の7か所で9レースが行われた11週間では、44,101件の検査が実施され、9件の陽性例が出た。オーストリアでのシーズン開幕以来、データはF1によって7日ごとにリリースされている。陽性結果が出た人の身元は秘密にされるが、レーシング・ポイントのF1ドライバーであるセルジオ・ペレスは、シルバーストンのダブルヘッダーレースの前にウイルスに感染した。ペレスは自己分離し、2つのラウンドを逃した。彼の周りのスタッフは、全員が陰性結果が出たことで、復帰することが許可された。シルバーストンでの2戦ではニコ・ヒュルケンベルグが代役を務めた。ベルギーでは、F2レーサーのダニエル・ティクトゥムが決定的ではない検査結果が出たことで、一時的に隔離された。フリー走行は逃したが、再検査で陰性反応が出たことで予選からは出場している。開幕8戦は無観客で開催されてが、ムジェロ・サーキットで開催されたF1トスカーナGPでは約3000人のファンがサーキットで観戦した。今後、観客を入れて開催するかどうかは、プロモーターの希望と政府の規定に応じて、ケースバイケースで決定される。ロシア、ポルトガル、トルコのイベントの主催者は大勢の観客を歓迎する予定だが、最終戦を開催するアブダビの当局者はすでに無観客で開催することを決定している。新型コロナウイルスの検査および担当者の会場へのアクセスに関する同様のプロトコルは、2020年シーズンの後半まで引き続き実施される予定となっている。