ランド・ノリスに5戦連続で後れを取ったオスカー・ピアストリ。メキシコGPでの5位フィニッシュにより、ついにドライバーズ選手権首位の座を明け渡した。わずか1ポイント差でノリスを追う形となったが、その流れを変える“リセット”が求められている。英メディアは、同郷のダニエル・リカルドが2024年に苦境を脱した“シャシー交換要求”こそがヒントになると指摘。マクラーレンが両ドライバーを完全に平等な立場で扱う中で、ピアストリがリカルド流の大胆な一手に踏み切れるかが、タイトル争いの行方を左右しそうだ。
5戦連続でノリスに後れ、ピアストリが初の首位陥落メキシコGPまでの5戦で、ノリスとマックス・フェルスタッペンがピアストリを上回る結果を残した。8月のオランダGP終了時点では、ピアストリはノリスに34ポイント、フェルスタッペンに104ポイントの差をつけていたが、その後は失点が続いた。バクーでは予選クラッシュとスタート違反が重なりリタイア。シンガポールではノリスとの接触を巡ってチーム内に火種を抱え、COTAスプリントでも両者が再び接触した。マクラーレンは一時的にノリスにペナルティ的な措置を科したものの、翌戦で撤回している。「シャシー変更」で再起したリカルドに学ぶべき記事は「ピアストリはリカルドを見習うべきだ」と指摘する。2024年にレーシングブルズへ移籍したリカルドは、開幕3戦ノーポイントに苦しんだ後、中国GPから新シャシーに変更。するとマイアミGPのスプリントで4位入賞を果たすなど、流れを変えるきっかけとなった。レーシングブルズは「旧シャシーに致命的な問題はなかった」としていたが、リカルドは“自分の感覚”を信じて要求を貫いた。その姿勢が、いまピアストリに必要だと論じられている。「もしノリスがいなければ、マクラーレンは変えていた」ゲイリー・アンダーソン元ジョーダンのテクニカルディレクター、ゲイリー・アンダーソンは『テレグラフ』紙に対し、「ピアストリのシャシーには問題があるとは限らないが、メンタル面でのリセット効果は大きい」と語った。「ピアストリはバクーで2度もクラッシュしている。マクラーレンは現在のシャシーに問題がないと考えているだろうが、理論的にはスイッチしても失うものはない。だが、この時期にそれを行えば“ピアストリを優遇している”と見られる可能性がある。もしノリスがいなければ、マクラーレンはすでに変更していただろう」チーム内バランスとタイトル争いの狭間でシンガポールでの接触や、イタリアGPでピアストリに「ノリスを先に行かせろ」と命じたチームオーダーも、マクラーレンへの“ノリスびいき”疑惑を呼んだ。チームは両者を「完全に平等な立場に戻す」と明言しているが、現実にはノリスの好調が続く。残り4戦、ピアストリがこの不利な流れを断ち切るには、メカニカルなリセットが必要だ。リカルドのように「シャシーを換えてくれ」と言えるか──それが、タイトル争いの命運を握る一手になるかもしれない。