2025年F1オーストリアGPの決勝で、マクラーレンF1のオスカー・ピアストリは優勝こそ逃したものの、タイトル争いの主役として注目を集めた。しかしその陰で、彼の古巣であるアルピーヌに対する怒りをにじませる場面もあった。レース終盤、ピアストリはアルピーヌのフランコ・コラピントとピエール・ガスリーによって連続して妨害を受ける形となった。55周目、コラピントが角田裕毅とバトルを繰り広げる中でピアストリをコース外に押し出し、これによりアルゼンチン人ルーキーには5秒ペナルティが科された。
さらにその2周後、ガスリーもターン1でピアストリの進路を妨害。前を行くランド・ノリスを追うピアストリにとっては、フラストレーションのたまる展開だった。こうした状況に、ふだんは冷静なピアストリも珍しく無線で激怒。「アルピーヌは何年経っても俺の邪魔をしてくる」と放送には乗らなかったが、オンボード映像の無線からその発言が明らかになった。ピアストリは2022年にアルピーヌのリザーブドライバーを務めていたが、翌年の契約を巡って物議を醸した末にマクラーレンへ移籍。当時SNSで「僕の同意なく、アルピーヌが来年のドライバーとして発表したのは間違っている。僕はアルピーヌと契約していない」と発信した件は、今でもF1ファンの間で語り草となっている。現在のピアストリはマーク・ウェバーのマネジメントの下、マクラーレンで堂々たるチャンピオン争いを展開しており、今回の2位でタイトルリードは15ポイント差に縮まった。レース後、ピアストリはノリスとのチーム内バトルを振り返り、「かなりハードな戦いだった。追い抜いたときにもっと上手くやれていればと思うけど、良いバトルだった。ちょっとギリギリだったけど、僕たちはこういうバトルをするためにF1にいるし、勝利をかけて戦えたのは素晴らしかった」と語った。ターン4でロックアップしてノリスのギアボックスに迫った場面についても反省を示し、チーム代表のアンドレア・ステラは「チェッカーを受けた直後、彼は無線で『ターン4の件は僕のミスだ。次に向けて分かっている』とすぐに謝った」と称賛した。「こうした姿勢こそ、チームとしてより強く、団結を深める要因になる」とステラは続けた。ピアストリの怒りと冷静さ、その両面が垣間見えた一戦は、彼の成長とともに2025年シーズンの白熱したチャンピオン争いを象徴するものとなった。
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