ハースF1チームのオリバー・ベアマンが、F1アメリカGP決勝での接触未遂をめぐり、レッドブル・レーシングの角田裕毅に対して「非常にダーティな動きだった」と批判していたことが明らかになった。レース終盤、ターン15での攻防中にスピンを喫したベアマンは、無線で激しく不満を訴えている。今回、当時のチーム無線の全文が公開され、角田とのバトルに関する詳細なやり取り、さらにはニコ・ヒュルケンベルグとの通信内容も記録として残されている。
スチュワードはこの件を調査対象にせず、レース後も正式な処分は下されなかった。ベアマンは、35周目のターン15で角田をオーバーテイクしようとした際、角田がブレーキングゾーンでラインを変更したと非難した。両者は数周前にピットストップを終えており、ベアマンはわずかに新しいタイヤのアドバンテージを活かして角田に挑んでいた。スピンを喫した後、ベアマンはチームに「角田は調査されているのか」と尋ね、レースエンジニアのローナン・オヘアは「我々は彼の代わりにレースコントロールに訴えている」と答えた。無線記録全文Lap: 32/56 BEA: 1’39.119オヘア「オッケー、ツノダのソフトは君より1周古い。彼は君の1周前にボックスに入った」オヘア「それに“ホールド・イット”が使える」Lap: 33/56 BEA: 1’39.554オヘア「オーリー、ヒュルケンベルグがボックスインした。後ろはルクレール」ベアマン「どのタイヤ?」Lap: 34/56 BEA: 1’44.003ベアマン、ターン15でツノダを抜こうとしてスピン。ベアマン「ブレーキング中に動いた!」オヘア「オーリー、落ち着け。まだ大丈夫だ、ポジションは保っている。立て直していこう。我々もその場面を見ている」Lap: 35/56 BEA: 1’40.832オヘア「SOC(エネルギー残量)を使って防御して」オヘア「オーリー、SOCセブン。後ろのアルボンは脅威じゃない」ベアマン「“脅威じゃない”って言った?それとも“脅威だ”って?」オヘア「脅威じゃない、脅威じゃない」ベアマン「マジで!僕が仕掛けた瞬間に彼が僕の前をブロックしてきた。すごく危険だった」Lap: 38/56 BEA: 1’39.811オヘア「オーリー、それが2回目のトラックリミット警告。どちらもツノダとのバトル中だった」オヘア「オーケー」ベアマン「彼は何か調査されてる?あの件で?」オヘア「まだ話をしているところだ」スチュワードは、角田がディフェンス中にルールを破ったかどうかを調査せず、また事件として記録すらしなかった。レース後、ベアマンは角田の走りを強く批判し、ここ数戦における一連の「必死すぎる動き」を非難した。チェッカーフラッグ後の無線オヘア「チェッカーフラッグだ。チェッカーフラッグ。モード“イン”。インラップ手順を守って。よくやった、オーリー。P9だ。おめでとう」ベアマン「ごめん、みんな。くそっ、ツノダとのあの件にはがっかりだ。でもあのラップで仕掛けるしかなかった。もうあの瞬間しかなかったんだ。だから謝る。見直す必要があるけど、彼が僕の動きに合わせてハンドルを切ってきたように感じた。本当にダーティだった」オヘア「了解、確認しておく。いい走りだったし、ポイントも取れた。ナイスウィークエンドだ」ベアマン「うん、良い週末だった。けど残念だ。P9にがっかりしてる。まあ、僕たちにとってそれが“良いサイン”かもしれないけど、少なくともP8かP7は行けたはず。ごめん、みんな。ハードワークありがとう」ベアマン「聞こえる?」オヘア「聞こえるよ、オーリー。よくやった」小松礼雄「ありがとう、オーリー。あの動きはうまくいかなかったけど、少なくともペースはあった。最高でもP7が限界だったと思う。P9を悔しいと思えるのはいいことだ。次のメキシコで最大化しよう。行こう、オーリー。ナイスジョブ」しかしベアマン自身も、別のドライバーからの非難を受けていた。バーチャル・セーフティカー解除後の再スタートで、ヒュルケンベルグはベアマンが前に出たことに驚き、「あれは違法に違いない」とチームに無線で報告した。ヒュルケンベルグの無線Lap: 9/56 HUL: 1’40.053ヒュルケンベルグ「どうしてベアマンがあんなに前にいるんだ?違法に決まってる。今や大きく前だ」ペトリク「了解、ニコ。確認する」ヒュルケンベルグ「1.5秒は稼いでる」ペトリク「了解。前後のギャップを確認中だ。すぐに分かるはず」スチュワードはこれらの無線に関連するいずれの事案についても調査を行わず、正式なコメントも発表しなかった。結果として、ヒュルケンベルグはピット戦略でベアマンを抜き、角田のすぐ後ろでフィニッシュしている。
全文を読む