2010年のレース活動が決定していない中嶋一貴だが、ステファンGPのドライバーとしてF1残留の可能性が残されているとみられている。中嶋一貴は、ウィリアムズのドライバーとして2007年最終戦ブラジルGPでF1デビューを果たしたが、2009年シーズンは全戦に出場したドライバーの中で唯一ノーポイントと結果を残すことができず、またウィリアムズがトヨタとの契約を終了したことでウィリアムズのシートを喪失。さらには支援を受けているトヨタ自体がF1から撤退してF1残留が難しくなった。
2010年にむけてルノーなど数チームとの交渉が伝えられている中嶋一貴だが、ここへきてステファンGPのシート獲得が噂されている。ステファンGPはF1参戦を目指すセルビアのチーム。ステファンGPは、トヨタのF1撤退によって空席となったグリッド獲得を狙っていたが、ザウバーが参戦権を獲得したことで2010年の参戦は事実上不可能となった。そのザウバーからは同じくTDP出身の小林可夢偉の参戦が決定している。だが、ここへきて2010年に新規参戦を予定しているUSF1とカンポスの参戦が疑問視されており、どちらかが参戦を取りやめた場合にステファンGPがグリッドを獲得するとの噂が浮上している。F1の最高権威者であるバーニー・エクレストンは、新しい4チームのうち2チームは実際にグリッドには並ばないだろうが、2010年は24台のマシンがグリッドにつくだろうと発言している。ステファンGPは、トヨタが2010年の参戦に向けて開発を進めていたTF110の設計を買収し、ケルンにある元トヨタF1チームのファクトリーを使用する交渉をしており、契約は合意間近と伝えられている。そして、その契約の条件として中嶋一貴を乗せるという筋書きが取り沙汰されている。ステファンGPのチーム代表であるゾラン・ステファノビッチは、先週トヨタのファクトリーを訪問し、TMG社長のジョン・ハウエット、木下美明TMG副社長、元テクニカルチーフのパスカル・バセロンと面談。トヨタのF1施設使用の可能性が強まっている。ステファンGPは、2010年にF1参戦が叶わなかった場合にもF1マシンをテストする予定だとしており、すでにドライバーは決定しているとの発言をしている。「我々にはすでにドライバーがいるが、それを発表するつもりはない。来年F1にいられなければ、我々は一年を通してテストを行うつもりだし、たくさんテストすることになるだろう」ステファンGPの予算はすでに用意されており、マシンの開発は元マクラーレンのチーフデザイナーを務めていたマイク・コフランが担当し、セルビアとドイツで実行されるという。