ランキング首位で前半戦を折り返したマルケス。2年ぶりのチェコ勝利へ挑む後半戦のスタートとなる第10戦チェコGPが、8月2日(金)~4日(日)の3日間、チェコ第2の都市ブルノで開催される。チェコGPは、1993年にスタートして今年で27回目。チェコスロバキア時代を含めると、今年で43回目という長い歴史を誇る。
8月開催のグランプリとして定着しているチェコGP。その舞台となるオートモトドラム・ブルノ(以下、ブルノ)には、毎年10万人を超える大観衆が集まる。過去数年を振り返ると、2011年は15万5400人、12年は13万9232人、13年は14万2030人、14年は13万8312人、15年は13万8752人。3日間合計でも毎年20万人以上となり、15年は24万8434人を記録した。この年をピークに、隣国オーストリアGPとの2週連続の連戦となった過去3年は、決勝日が8万人台、3日間合計でも18万人から19万人と観客数がやや減少しているが、昨年は決勝日に8万4678人。3日間合計で18万7348人と相変わらず人気のあるグランプリとして注目されている。チェコGPの開催されるブルノは、自然の地形を利用した中高速コーナーが連続するサーキットで、パッシングポイントも多く、毎年、熱戦が繰り広げられる。最大の特徴は、コース中盤に設けられた7つのコーナーで一気に73mを下り、その下った分を最終コーナーに向かうストレートで一気に駆け上がるという独特なレイアウト。リズム感あふれる走りとなり選手たちにも好評なサーキット。Repsol Honda Teamは過去8年で5勝を挙げている。11年にケーシー・ストーナー、12年にダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)、13年にマルク・マルケス(Repsol Honda Team)、14年に再びペドロサ、15年はHonda勢は優勝を逃したが、16年はカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)、17年は“フラッグ・トゥ・フラッグ”という難しいレースとなりマルケスが制した。昨年は優勝を逃したが3位でフィニッシュ。タイトル獲得に大きく前進する大会となった。9戦を終えて総合首位に立つマルケスは、これまで5勝を含む8回の表彰台を獲得し、総合2位のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)に58点差、総合3位のダニーロ・ペトルッチ(ドゥカティ)に64点差、総合4位にアレックス・リンス(スズキ)に84点差をつけている。ポイントリーダーとして後半戦のスタートを迎えるが、前半戦に築いたリードを守り、そしてさらにリードを広げるために気持ちを引きしめて挑むことになる。シーズン前半の締めくくりとなるドイツGPでは、MotoGPクラスで7連勝、125cc、Moto2時代を含めて大会10連覇というすばらしい記録を達成した。その勢いをキープし、今大会は2年ぶりの大会制覇とシーズン6勝目が期待される。16年の大会で優勝しているクラッチローは、3年ぶりの大会制覇と今季初優勝を目指す。今年は開幕戦カタールGPで3位になり幸先良いスタートを切るが、それからは転倒や不運のレースで表彰台に立てないレースが続いた。しかし、シーズン前半戦のしめくくりとなる第9戦ドイツGPでは大会前に右ヒザを痛めながら熱い走りをみせて3位表彰台を獲得した。体調がほぼ万全になった後半戦は、完走率100%に挑む。第8戦オランダGPで他者の転倒に巻き込まれ右足首を負傷した中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、その影響で第9戦ドイツGPも厳しい走りを強いられた。今大会も100%の状態に戻っていないが、悔しい結果と厳しい走りを強いられた過去2戦の雪辱に燃えている。第8戦オランダGPのケガで第9戦ドイツGPを欠場したホルヘ・ロレンソ(Repsol Honda Team)は、回復が遅れており、第10戦チェコGP、第11戦オーストリアGPも欠場する。その代役としてドイツGPに出場して14位でフィニッシュ、ポイントを獲得したステファン・ブラドルが、引き続き代役出場を果たす。先週は鈴鹿8時間耐久ロードレースに出場して3位表彰台獲得に貢献した。8耐からの連戦、そして今季3回目のMotoGP出場となるが、ワイルドカードで出場した第4戦スペインGPの10位以上でのフィニッシュを目標に戦う。マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)「シーズン後半戦を迎え、またマシンに乗れることをとても楽しみにしています。夏休みは少しですがリラックスすることができました。でもすぐにチームとマシンが恋しくなりました。仕事に戻る準備は整っています。ブルノは走っていて楽しいサーキットです。前半戦をいい形で終えることができたので、引き続き集中力をキープして後半戦に挑みます。ブルノは多くのライダーが得意としているサーキットなので、どういう結果になるかは走ってみないとわかりません。ホルヘがチェコ、オーストリアの2戦を欠場しますが、早く回復してチームに戻ってくることを願っています」カル・クラッチロー(MotoGP 総合9位)「ブルノでのグランプリがとても楽しみです。このサーキットにはすばらしい思い出があります。夏休みを終えて、再びチームと仕事をすることも楽しみです。前戦ザクセンリンクのフィーリングをもっと改善し、さらにいい結果を残したいです。いよいよシーズン後半のスタートです。僕とチーム、そしてHondaのために、もっといい結果を残せることを願っています」中上貴晶(MotoGP 総合12位)「今年の夏休みは、日本とスペインで過ごし、オランダGPで負傷した右足首の理学療法に努めました。足の状態はまだ100%ではありませんが、毎日少しずつよくなっています。ザクセンリンクより確実によくなっているので、前戦よりいい走りができると思います。治療のためにいい夏休みを過ごしたとは言えませんが、足の回復を考えれば、いい夏休みになりました。シーズンの後半戦を楽しみにしています。後半戦もブルノからレッドブルリンクと2連戦となります。チャンピオンシップにとってとても重要な戦いになります。オランダ、ドイツの2連戦は厳しいレースを強いられましたが、後半戦のスタートとなる2連戦はしっかりレースを楽しめるようにしたいです」ステファン・ブラドル(MotoGP 総合20位)「ブルノが楽しみです。再びRepsol Honda Teamでレースを戦えることをうれしく思います。ザクセンリンクでは、とても楽しく仕事ができました。今週末の目標は、ドイツGP同様、マシンを改善していくことです。このような機会を与えられてうれしく思っています。HRCとRepsol Honda Teamに感謝したいです。そしてホルヘが一日も早く回復して、強くなって戻ってくることを願っています」