MotoGP 第7戦カタルニアGPは、最高気温26℃、路面温度51℃と、レースウイークを通じて最も暑く、そして厳しいコンディションとなり、予選2番手から決勝に挑んだマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が独走で今季4勝目を達成した。カタルニアGPで優勝するのは2014年以来、5年ぶり。今年は第4戦スペインGPに続き、このカタルニアGPも制し、地元ファンの期待に応えた。
今大会は路面とタイヤのマッチングが難しく、フリー走行、予選、ウォームアップとタイヤテストに集中した。最終的にフロントにハード、リアにソフトを選択、後半にかけてタイヤパフォーマンスが厳しくなることを予測したマルケスは、前半からペースを上げていく作戦とした。オープニングラップは3番手。2周目の10コーナーでトップに浮上するが、その直後、トップ集団にいたホルヘ・ロレンソが転倒し、そのアウト側にいたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)、マーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)の3選手を巻き込んでの多重クラッシュとなった。この転倒でマルケスは2位以下に一気にリードを広げるが、その後も1分41秒台のラップタイムを刻み、独走状態に持ち込むと、24周のレースを危なげなく走り抜けた。カタルニアGPでは、15年に転倒リタイア、16年から18年まで3年連続で2位となかなか優勝を果たせなかったマルケスだが、今年は5年ぶりの優勝を達成し、スタンドを埋めた大観衆から大きな拍手と声援が送られた。この日は、Moto2クラスで弟のアレックス・マルケスが優勝し、フランスGPに続き、今季2回目の兄弟Vを達成した。14年には、Moto3クラスで弟が、MotoGPクラスでマルケスが優勝し、史上初となる同一大会での兄弟Vを達成している。5年ぶりとなるホームGPでの兄弟V達成に地元ファンは大喜びだった。予選16番手から決勝に挑んだ中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、オープニングラップ14番手につけると、それから着実にポジションを上げて8位でフィニッシュした。今大会は、路面とタイヤのマッチングに苦しみ、タイヤの選択に悩んだが、耐久性よりもグリップを重視してリアにソフトを選択した。レース終盤はややペースを落とすことになったが、今季6回目のトップ10フィニッシュを果たした。予選9番手から決勝に挑んだカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、オープニングラップ12番手から着実にポジションを上げて、6台による2位争いの集団に加わった。後半は今季2回目の表彰台獲得を視野に入れる走りとなったが、ラスト6周となった19周目の4コーナーでコースアウトを喫し、転倒リタイアとなった。予選10番手から好スタートを切ってトップグループに加わったホルヘ・ロレンソ(Repsol Honda Team)は、2周目の10コーナーで痛恨の転倒を喫し、リタイアとなった。この転倒は、3人の選手を巻き込む多重クラッシュに発展し、ロレンソは巻き込んだ選手に対して謝罪した。今大会、RC213Vの攻略が進んだだけに、残念な結果となった。マルク・マルケス(MotoGP 優勝)「リアタイヤにソフトを選択し、序盤からプッシュしました。タイヤをオーバーヒートさせないようにしながら、安定したペースで周回を重ねました。今週末はチーム全体がとてもいい仕事をしてくれました。セットアップに一生懸命に取り組み、レースに向けてしっかりと準備をしました。レース中には、ドヴィ(ドヴィツィオーゾ)になにかがあったことをチームが教えてくれたので、とにかくプッシュして自分のペースに集中しました。完ぺきな戦略でした。応援に来てくれたファンに『ありがとう』と伝えたいです。弟と一緒に優勝を祝えるのは特別なことです。アレックスも今週末はいい走りをしました」中上貴晶(MotoGP 8位)「今日はスタートがよく、序盤の数周もムジェロと同じくらいアグレッシブに走ることができました。これまでの課題を今回も克服できたことで、序盤にポジションを上げることができました。予選を終えた時点で、耐久性よりもグリップを優先するタイヤ選択とし、リアにソフトを選択しました。そのため、スタート直後からリアタイヤのマネージメントを心がけましたが、全体的にうまくいったと思います。しかし、ラスト5周はさすがに厳しくなり、集中力を切らさないように最後まで走りました。今日は終盤にタイムを落としたことが課題となりましたが、レース中に、エンジンブレーキ、トルク調整をしながら走るという経験を積むことができました。レースウイークを通じてグリップが悪く、そのためコーナーの進入が難しく、ラインをキープするのが大変でした。今日は転倒車の多いレースとなりましたが、限界を超えないように、最後まで持てる力を出すことができました。満足のいく内容ではありませんが、16番手というグリッドを考えれば、8位でフィニッシュできたことはよかったと思います。いい経験、データを蓄積することができました」カル・クラッチロー(MotoGP リタイア)「転倒は完全に僕のせいです。ジャック(ミラー)をパスしようとしたときに、コーナーの進入でリアがロックしてしまいました。これは今大会抱えていた問題の一つです。表彰台の可能性があったので、その問題が起きる可能性があっても、彼をパスしなければならないと思いました。転倒は残念ですが、レースのペースには満足しています。転倒したときは最も速いライダーの一人でした。フィーリングもよく、プッシュできると感じていました。その点には満足しています。今日はすばらしいペースがあったので、2週間後のアッセンにつなげたいです」ホルヘ・ロレンソ(MotoGP リタイア)「ブレーキングが少し遅れたのですが、なにもできませんでした。僕のせいです。僕のミスです。申し訳ありません。ドヴィとマーベリック、そしてバレンティーノを巻き込んでしまい、本当に残念です。彼らにはなんの責任もありません。今日のレースで唯一の問題は、このクラッシュでした。3人を巻き込んでしまいました。これを除けば、今大会は一歩前進できた週末でした。レースウイークを通して安定していました」