MotoGP 第5戦フランスGPの予選は、終日、小雨が降り続く難しいコンディションとなり、フリー走行で総合2番手のマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、Q2でトップタイムをマーク。2戦ぶり今季3度目のポールポジション(PP)を獲得した。午前中のフリー走行はウエットコンディションとなり、前日の総合順位で予選Q1、Q2のグループ分けが決まった。
そのためマルケスは、FP3とFP4でレインタイヤのテストに集中した。難しいコンディションとなった両セッションだが、FP3で2番手、FP4でトップタイムをマークしたマルケスは、さらに難しく不安定なコンディションとなったQ2でライバルを圧倒した。この日は各セッションともに転倒車の多い難しいコンディションとなり、マルケスもFP4とQ2で転倒した。しかし、決勝もウエットコンディションになれば、この経験が活きることは間違いない。大会2連覇、そして今季3勝目に向けて、ドライ、ウエットともに万全の状態を作り上げることに成功したマルケスが、Hondaの最高峰クラス300勝に向けて大きく前進した。金曜日のフリー走行で9番手タイムをマークした中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、FP3とFP4でウエットコンディションのセットアップに集中。Q2で自己ベストグリッドとなる7番手タイムをマークした。スペインGPに続き、ダイレクトでQ2進出を果たした中上は、セッション序盤からペースを上げる作戦が功を奏し、ベストグリッド獲得につながった。初日4番手と好調なスタートを切ったホルヘ・ロレンソ(Repsol Honda Team)が、今季自己ベストの8番グリッドを獲得した。最も路面が濡れていたFP3では7番手タイムをマーク。そしてQ2では今季ベストの8番グリッドを獲得した。難しい路面の中で、RC213Vのパフォーマンスを確実に引き出し、安定した走りを見せたロレンソの決勝の走りに注目される。初日12番手とやや出遅れたカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、予選Q1からQ2進出を目指したが、5番手タイムに終わり、15番グリッドが確定した。今季初めてQ2進出を果たせなかったクラッチローだが、決勝では5列目からの追い上げに挑む。マルク・マルケス(MotoGP ポールポジション)「今日はとても難しい一日となりました。雨が小降りのときは、スリックタイヤがいいのか、レインタイヤがいいのか走ってみないと分かりませんでした。予選では、まだ路面に水が少ない1周目からプッシュしようと決めました。そのあと雨が段々強くなり、水の量も増えてさらに難しいコンディションになりました。そういう状況の中でポールポジションを獲得できてうれしいです。今日のようなコンディションでは、慎重にならないといけません。ミスをすると後方のグリッドになってしまうからです。明日の天候がどうなるか分かりませんが、コンディションに合わせてベストを尽くします」中上貴晶(MotoGP 7番手)「厳しい予選でした。FP4とQ2は特に路面コンディションが複雑で、どのタイミングでどのタイヤを装着すればいいのか、本当に悩む状況でした。そういう状況の中でQ2では、前後ミディアムを装着して早いタイミングでタイムを出すことができて、ベストグリッドの7番手を獲得することができました。この時点ではタイヤの選択はよかったと思うのですが、セッション終盤にリアをミディアムからソフトに換えてコースインしたときは、3コーナーでフロントがプッシュされる状態となり転倒してしまいました。幸いにも低速コーナーだったのでケガはありませんでしたが、こんなに集中して走った予選は初めての経験でした。今日は、FP3、FP4、Q2とトップとのタイム差を確実に縮めることができました。明日は”フラッグ・トゥ・フラッグ”になる可能性が高いので、マシンチェンジのタイミングなど、これからチームとしっかりミーティングする予定です。明日も全力を尽くします」ホルヘ・ロレンソ(MotoGP 8番手)「今日の予選はとてもトリッキーなコンディションでした。フルウエットで、グリップが全くないセクターがあった一方で、ほかの部分はほぼドライでした。転倒しないように走行するのがたいへんでした。今日は2列目までのグリッドを獲得できたかもしれませんが、まずはユーズドのソフトタイヤで走り、次にミディアムを使いました。もし、ミディアムを先に使っていたら、もっと前のグリッドを獲得できたかもしれません。しかし、今年のベストグリッドポジションを獲得できました。これはポジティブです」カル・クラッチロー(MotoGP 15番手)「昨日は、FP2で転倒したため、予選はQ1からのスタートになり、Q2へ進めませんでした。とても残念です。最後のラップは満足のいくものでしたが、路面が思ったより濡れていました。Q1は思いのほか路面が乾いていたので、スリックで走ればよかったのではないか、というのは簡単です。しかし、僕はスリックタイヤよりも、ミディアムのレインタイヤの方が速く走れるのではないかと感じていました。ところが僕がピットに戻ったとき、バレンティーノがスリックタイヤで最速タイムをマークしていました。スリックに替えてコースに戻ったときには遅すぎて、タイヤを温めることができませんでした。予選15番手になりましたが、レースペースは15番手ではないことは確かです。このようなウエットコンディションでは厳しい戦いになることは間違いありません。明日はドライレースになることを願っています。そうすればいいペースで走れると思います」