2018年のMotoGP後半戦のスタートとなる第10戦チェコGPが、8月3日(金)~5日(日)の3日間、チェコ第2の都市ブルノで開催される。チェコGPは、1993年にスタートして今年で26回目。チェコスロバキア時代を含めると、今年で42回目という長い歴史を誇る。8月開催のグランプリとして定着しているチェコGPは、毎年10万人を超える大観衆が、オートモトドラム・ブルノ・サーキット(以下、ブルノ)に集まる。
2011年は15万5400人、12年は13万9232人、13年は14万2030人、14年は13万8312人、15年は13万8752人。3日間合計では毎年20万人以上の最多入場者数を記録し、15年は24万8434人にも上った。しかし、オーストリアGPとの連戦となった過去2年は、決勝日が8万人台、3日間合計でも18万人から19万人と例年に比べて観客数がやや減少しているが、今年はどの大会も観客数が増加しているだけに、チェコGPも決勝日に10万人、3日間で20万人を超える観客が予想されている。チェコGPの開催されるブルノは、自然の地形を利用した中高速コーナーが連続するサーキットで、パッシングポイントも多く、毎年、熱戦が繰り広げられる。最大の特徴は、コース中盤に設けられた7つのコーナーで一気に73mを下り、その下った分を最終コーナーに向かうストレートで一気に駆け上がる独特なレイアウト。リズム感あふれる走りが実現するため、選手たちにも好評なサーキットだ。Repsol Honda Teamは過去7年で5勝を挙げている。11年にケーシー・ストーナー、12年にダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)、13年にマルク・マルケス(Repsol Honda Team)、14年に再びペドロサ、15年はHonda勢は優勝を逃したが、16年はカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)、昨年は“フラッグ・トゥ・フラッグ”という難しいレースをマルケスが制した。シーズン前半戦を総合首位で折り返したマルク・マルケスは、相性のいいサーキットの一つであるブルノで今季6勝目を目指す。過去の戦いでは、12年にMoto2クラスでブルノ初優勝、MotoGPクラスでは、史上最年少記録でチャンピオンを獲得した13年に優勝。開幕戦から10連勝を達成した14年は大きなプレッシャーも影響したのか4位に終わったが、15年は2位、16年も3位と着実に表彰台に立ってきた。そして昨年はウエットからドライへと路面コンディションが変化する難しいレースで、圧倒的な速さで優勝した。マルク・マルケスにとって今大会は、MotoGPクラスで100戦目を迎えまる。99戦を終えて40勝というすばらしい勝率を誇るマルケスだが、節目となる100戦目のレースで今季6勝目、最高峰クラスでの通算41勝目を目指す。今シーズンを最後に引退することを表明しているチームメートのダニ・ペドロサにとって、後半戦は、一戦一戦が現役生活にけじめをつける大会となる。その中でも、チェコGPの開催されるブルノは得意とするコースで、125cc(03年)と250cc(05年)で優勝。MotoGPクラスでは12年と14年に優勝している。15年の大会はフリー走行の転倒で左足を痛めたことから、決勝では苦戦を強いられ5位。16年はウエットからドライへと路面が変化していく難しいレースで12位と大苦戦したが、ウエットからドライへと変化、マシンを乗り換えての“フラッグ・トゥ・フラッグ”となった昨年は、マルケスに続いて2位でフィニッシュした。今年もマルケスとのダブル表彰台、そして1-2フィニッシュが期待される。16年の大会で優勝しているカル・クラッチローは、2年ぶりの大会制覇と今季2勝目を目指す。過去2年、不安定な天候の中で決勝レースが行われ、おととしは優勝、昨年は5位。シーズン前半戦の締めくくりとなるドイツGP後には、チェコで2日間のプライベートテストを実施、万全の体制でチェコGPを迎える。前戦ドイツGPでは転倒リタイア。悔しいレースに終わっているだけに、その雪辱に挑む。第8戦オランダGPのフリー走行で転倒、左手を負傷したフランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)が、3戦ぶりに完全復帰を果たす。前戦ドイツGPは、初日のフリー走行を走ったが、左手の状態が完全ではなく、欠場を決めた。Moto2時代は優勝経験のあるサーキット。3戦ぶりの復帰戦に闘志を燃やしている。ドイツGPを終えて、鈴鹿8時間耐久ロードレースにTeam HRCから参加、2位でフィニッシュした中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は休む暇もなく後半戦に挑む。Moto2時代の昨年も8耐に参戦してチェコ、オーストリアの連戦に挑むハードスケジュールを経験している。今年も夏休みのない厳しいスケジュールとなったが、過酷なレースとなる8耐で得た経験を、後半戦に活かす意気込みだ。前半戦の9戦を終えていまだポイント獲得のないトーマス・ルティ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)も、得意とするブルノに気合を入れている。ドイツGP後のテストにも参加、準備万端の状態で挑む。前戦ドイツGPで、モルビデリの代役として急きょ出場して16位という結果を残したステファン・ブラドルが、今大会はワイルドカードで出場する。今年はHRCのテストライダーとして、RC213Vの開発テストに携わってきた。2戦連続の出場となる今大会はポイント獲得を目指す。マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)「ブルノではいいテストが行えました。過去2戦は、アッセンとザクセンリンクという全く違う2つのサーキットで優勝しました。アッセンは全力を尽くすバトルとなり、ザクセンリンクは戦術的なレースとなりました。この2戦での優勝は大きな自信になりましたね。また、数日間のバケーションではしっかり充電することができたので、これから待ち受ける残り10戦という長い戦いに向けて備えることができました。ライバルたちはどのサーキットでも、どんな状況でも速いので、毎回最良の戦略を取らなければなりません。チームやHRCのエンジニアたちとは、とてもうまく仕事ができています。この調子をキープしなければなりません。今あるチャンピオンシップのアドバンテージのことは考えず、0ポイントの気持ちでブルノへ向かいます。日曜日の目標はがんばって優勝することですが、それが無理であれば、できる限りいい結果を出せるようにがんばります」カル・クラッチロー(MotoGP 総合8位)「夏休みは必要だったと思います。8月は3レースがあり、さらに、19日にミサノでテストもあり、忙しい一カ月になります。ブルノは、2016年にMotoGPで初優勝してから僕にとっては特別なサーキットとなりました。ドイツGPでは、僕のミスで転倒して表彰台争いのチャンスを逃してしまいました。でもポジティブな面を持ち帰ることができたし、今週末に向...
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