MotoGP 第9戦ドイツGPが、7月13日(金)~7月15日(日)の3日間、ドレスデン近郊のザクセンリンクで開催される。ザクセンリンクの歴史は古く、1927年に初めて公道を使ったレースが行われ、1961~1972年には、東ドイツGPの舞台となった。そして、90年に東西ドイツが統合されるとザクセンリンクでのグランプリ復活を望む声が高まり、全面改修を受けた1998年にドイツGPの舞台として再び開催。今年で21度目の開催を迎える。
グランプリが復活した当初のザクセンリンクは、一周3.508kmのショートコース。タイトなコーナーが連続し、ストレートも短く、エンジンパワーをほとんど発揮できないレイアウトだった。そのため、2001年にコースの後半部分が改修されて3.704kmへと延長された。さらに、03年にはコース幅を広げる改修が行われ、全長は3.671kmへとわずかに短くなったが、MotoGPマシンのパフォーマンスを発揮できるコースに生まれ変わった。以来、ザクセンリンクは、パッシングポイントの多い白熱した戦いが繰り広げられるサーキットとして、選手たちから好評となっている。過去20度の大会でHondaは14勝を挙げている。ザクセンリンクで優勝してきたHondaライダーは、ミック・ドゥーハン、アレックス・バロス、バレンティーノ・ロッシ(現ヤマハ)、セテ・ジベルノー、マックス・ビアッジ。そして、Repsol Honda Teamで13年目のシーズンを迎えるダニ・ペドロサは、2007年、10年、11年、12年と過去4勝を挙げている。さらに、MotoGPクラスにデビューした2013年に史上最年少記録でチャンピオンに輝いたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、13年から17年までドイツGP5連勝を達成してファンを喜ばせた。ペドロサ、マルケスのRepsol Honda Teamの両選手が、過去8年連続でドイツGPを制覇してきた。今年はRepsol Honda Team9連覇とHondaとして15回目のザクセンリンク制覇に挑む。13年、14年、16年、17年とMotoGPクラスにデビューしてから5年間でこれまで4度MotoGPクラスのチャンピオンに輝いたマルケスは、COTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)で開催された第3戦アメリカズGPで達成した6年連続大会制覇に続き、今大会はシーズン2度目の6連覇の期待が寄せられる。過去、ドイツGPで優勝したマルケスは、それ以降、調子を上げて勝ち星を重ね、タイトル獲得に大きく前進した。今年はチャンピオンシップをリードして今大会を迎える。ここはマルケスにとって相性のいいサーキットの一つ。10年には125cc、11年と12年にはMoto2クラスを制している。そして、13~17年はMotoGPクラスで5年連続制覇と、ドイツGPでは8連勝を達成している。今年はドイツGP9連覇を達成し、3年連続5回目の最高峰クラスチャンピオン獲得に弾みをつける意気込みだ。チームメートのダニ・ペドロサも、ザクセンリンクを得意としている。これまで、250ccクラス(現Moto2)で2勝、最高峰クラスで4勝を挙げて、自身最多の大会6勝を挙げている相性のいいサーキットだ。過去5年はチームメートのマルケスが強く、なかなか優勝できていないが、14年、15年と連続2位。“フラッグ・トゥ・フラッグ”となった16年は、マシンチェンジを行ってから苦戦して6位だったが、昨年は3位になり、Repsol Honda Teamがそろって表彰台に立った。今季ここまで表彰台のないペドロサだが、今大会は、今季初優勝、初表彰台を目指す。前戦オランダGPで予選2番手、今季2回目のフロントローを獲得、決勝では7台によるし烈な優勝争いで6位でフィニッシュしているカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)が、得意とするザクセンリンクに闘志を見せている。16年の大会は、“フラッグ・トゥ・フラッグ”となった難しいレースで2位。この表彰台をきっかけに、シーズン後半戦は2勝を挙げる大躍進を果たした。昨年の予選はフロントロー争いに加わり惜しくも4番手。決勝はタイヤの選択がうまくいかず10位だったが、今年は2年ぶりの表彰台獲得と今季2勝目に挑む。前戦オランダGPのフリー走行で転倒を喫し、左手甲を骨折して大会を欠場したフランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)が、今大会から復帰する。オランダGPを終えたときにはドイツGPの出場は厳しいという観測だったが、予想以上に順調に回復、木曜日のメディカルチェックを受けて大会出場に挑む。過去3戦、不運の転倒やタイヤのパフォーマンスを発揮できないためにノーポイントに終わっている中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が、4戦ぶりのポイント獲得に挑む。過去2戦は、鈴鹿8時間耐久ロードレースのテストのためにヨーロッパと日本を往復するハードスケジュールとなっているが、シーズン前半戦を締めくくる大会で目標とするトップ10フィニッシュを目指す。スイスから応援団が大勢かけつけるトーマス・ルティ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、得意のコースでMotoGP初ポイント獲得に挑む。マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)「アッセンは非常にミスをしやすいレースでしたが、優勝したことでチャンピオンシップのアドバンテージを広げることができました。オランダの勝利はとても重要でした。今大会は全く違うキャラクターのサーキットです。これまではとても力強い走りができましたが、今年もそうできるように全力を尽くします。ザクセンリンクは、とても天気が変わりやすく、天候が走りに大きな影響を与えます。雨、そしてミックスコンディションになったときは、路面コンディションなどすべてが劇的に変化するので、それに備えておかなければなりません。どんなレースになるのか様子を見たいです。とにかく、いいレベルを見つけ、レースウイークを力強くスタートできるようにがんばります。そして日曜日に再び表彰台争いができるようにがんばります」カル・クラッチロー(MotoGP 総合6位)「ドイツGPは大勢の観客がきて、いつも楽しい週末になるので、とても楽しみです。ザクセンリンクは、とても難しいコースです。高低差があるだけではなく、普通とはかなり違うレイアウトで、とても楽しいです。日曜日の決勝では、いつものように表彰台を目標に、全力を尽くします。そして、いいレースができることを願っています。ここ数戦の結果には満足していますが、アルゼンチン以来となるトップ3に心から戻りたいと思っています」ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合12位)「ザクセンリンクのレースが楽しみです。このサーキットは好きです。アッセンのレース後半は、他のレースに比べていいペースを刻めたと思います。ザクセンリンクではさらに前進したいです。予選でもっと速くなれるように新品タイヤで...
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