マルク・マルケス(ドゥカティ)は、キャリアの転機となったホンダ離脱について振り返り、その決断を「恋愛関係」に例えて語った。10年間在籍し成功と苦難の両方を経験したチームとの別れは、理屈ではなく感情との葛藤だったという。結果としてドゥカティ移籍後に再びタイトルを獲得したことで、自身のキャリアに一区切りがついたと明かし、「やるべきことはすべてやった」という心境に至ったことを強調した。
ホンダとの10年間は“離れられない関係”マルケスはホンダ時代を振り返り、離脱の決断がいかに難しかったかを明かした。「僕を一番止めていたのは心だった。10年間ホンダにいて、同じメカニック、同じ人たちとやってきた」「それはまるで恋愛関係のようなものだった。トキシックとは言わないが、離れたくはない。でも、自分にとって最善だと分かっている」2023年に関係は終わりを迎えたが、その背景には4年間タイトルから遠ざかり、度重なるクラッシュと負傷に苦しんだ現実があった。勝利を取り戻すためには「最高のバイクが必要だ」と判断し、ドゥカティへの移籍を決断した。“頭では正しいと分かっていた”決断マルケスはホンダ離脱について、感情ではなく理性の判断だったと強調する。「心では感じていなかったが、頭ではそうすべきだと分かっていた」ドゥカティで再びタイトルを獲得したことで、その決断が正しかったと確信したという。「また勝てた。それで終わりだ。自分の中で円は閉じた。これで自分自身に納得できた」2020年の負傷後にキャリアが終わることを避けたかったとも語り、復活への強い意志が決断を後押ししたことを明かした。変化をもたらしたのは“恐怖を知ること”若き日のマルケスは、恐怖を感じないことが武器であり同時に弱点でもあったと振り返る。「サーキットの中では、恐怖を見ないことが強みでもあり弱みでもあった」しかし度重なる負傷が、その考え方を変えた。「ここではリスクを取るべきではない、という判断ができるようになった。ケガをする可能性があるし、必要もない場面があると分かるようになった」経験と年齢、そして負傷が、より成熟した判断力をもたらしたという。“狂気”を制御することが勝利につながるそれでもマルケスは、トップで戦うためには一定の“狂気”が必要だと語る。「才能だけでは勝てない。すべての要素が必要だが、勇気は欠かせない」「よく『バイク乗りは狂っている』と言われるが、勝つのは一番狂っている者ではなく、その狂気を最もうまく使える者だ」極限のスピード域で競うMotoGPにおいて、リスクと判断のバランスこそが勝敗を分ける――その本質を、マルケスは自身のキャリアを通して体現している。
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