2025年F1 モナコGPが、5月23日(金)~5月25日(日)の3日間にわたってモンテカルロ市街地コースで開催される。公式タイヤサプライヤーのピレリが2025年のF1世界選手権 第8戦 モナコグランプリのタイヤについて解説した。F1カレンダーの中でも最も象徴的で格式あるイベントの1つであるモナコGP。その魅力は長い歴史だけでなく、特別な雰囲気に包まれていることにある。初開催は1929年で、ル・マン24時間、インディ500と並び「モータースポーツの三冠」を構成するレースの1つでもある。
狭い市街地コース、タイトなコーナー、急な上り坂と下り坂、そして港へと続く有名なトンネルなど、このサーキットならではの特徴が揃っている。パワーよりも精密さが重要で、ミスの許されない舞台だ。また、モナコGPは単なるレースではなく、スポーツと優雅さ、華やかさが融合した特別な社交イベントでもある。技術面では非常に複雑で、マシンは最大限のダウンフォースで走行し、オーバーテイクが極めて難しいことから、予選順位が勝敗を大きく左右する。モナコはF1の純粋かつ壮観な本質を祝う象徴的な存在だ。今年も表彰台に上がったドライバーには、デニス・デコヴィッチがデザインしたモナコ国旗カラーの特別仕様ピレリ・ポディウムキャップが贈られる。このキャップは2025年シーズンで5番目のバージョンで、ピレリの公式オンラインストア(https://store.pirelli.com/)で購入可能だ。タイヤコンパウンドと新ルール2戦連続でピレリは2025年レンジの中で最もソフトな3種類のタイヤを選定。イモラに続き、C4がハード、C5がミディアム、C6がソフトで、そのうちハードとミディアムがレース中の義務使用コンパウンドに指定されている。そして今週末、モナコGP限定で大きなルール変更が導入される。それは「決勝レース中に2回のピットストップを義務化する」というもの(詳細は「キーワード」欄に記載)。FIAとF1は、昨年のように単調になりがちなモナコGPに戦略的な変化を加え、レース展開に刺激を与えることを狙っている。この変更に伴い、全ドライバーにはフルウェットタイヤが通常の2セットに加えて追加で1セット配布され、雨天時でも2ストップ義務を実施可能にしている。これにより、戦略の多様化が見込まれる。ピットウインドウが固定されないことで、後方スタートのドライバーがクリーンエアを活かして順位を上げるチャンスも広がる。また、モナコではもともとタイヤのデグラデーションが少ないため、2ストップが義務化されることで、特に終盤にセーフティカーが出た場合など、ソフトタイヤの使用が増える可能性もある。昨年のモナコGP通常、モナコGPでは1回のピットストップが主流だが、昨年は決勝スタート直後の赤旗により、理論上20台中わずか6台しかレース中に実際のピットストップを行わなかった。これは再スタート前に全車が異なるコンパウンドへ変更し、ルール要件を満たしたためだ。再スタート後に実際にピットしたのは6台のみ。周冠宇はソフトタイヤを選んだが、最下位のままであり、戦略的な利得はなかった。結果として、トップ10は予選順位通りにゴールし、退屈なレース展開となった。モンテカルロ市街地コースの特徴モナコの市街地コースは、普段は一般車両が通行している道路で構成されており、全長3.337kmのコースを78周する。19のコーナーは非常に狭く、ランオフエリアはほとんど存在しないため、ドライバーはしばしばバリアすれすれを走行する。ターン12からターン3まで、約半分の区間が再舗装されており、最初のプラクティスセッションではグリップ不足やグレイニングが発生する可能性があるが、走行を重ねて路面にラバーが載ることで改善されていくと見られている。なお、コースは毎日走行終了後に一般開放される。キーワード:スポーティング・レギュレーション(競技規則)このイベント専用に変更された新レギュレーションは、条項30.5(m)で明記されている。要点は以下の通り。「モナコGPでは、各ドライバーが3種類以上の異なるタイヤ(ドライまたはウェット)を使用しなければならない。インターやウェットを使用しない場合は、少なくとも2種類のスリックコンパウンドを使用し、そのうち1種類は義務コンパウンド(ハードまたはミディアム)でなければならない。レースが中断され再開不能とならない限り、このルールに違反したドライバーは失格となる。違反した場合は30秒のタイム加算が課される。」統計コーナーモナコGPは1950年のF1世界選手権第2戦として初開催され、スクーデリア・フェラーリが初めて参戦したレースでもある(フェラーリはF1全レースに参戦している唯一のチーム)。これまで開催されたモナコGPは70回(1951~1954年および2020年は未開催)。「モナコの王子」とも称されるアイルトン・セナが最多6勝で最多ポール(5回)・最多表彰台(8回)記録も保持。次いでグラハム・ヒルとミハエル・シューマッハが5勝。コンストラクター別では、マクラーレンが最多の15勝、フェラーリが10勝で続き、ロータスとレッドブル・レーシングが7勝で並ぶ。ポールポジション数ではフェラーリ(13回)、マクラーレン(11回)、ロータス(9回)の順。フェラーリは表彰台獲得数でもトップで57回、2位マクラーレンの28回を大きく上回る。優勝者のうちポールスタートは32人(約45.7%)、2番グリッドからは16人(約22.7%)と、予選が決勝結果に与える影響が極めて大きいことが分かる。なお1996年にはオリビエ・パニスが14番手スタートから優勝という極めて珍しい快挙を成し遂げている。
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