メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、チーム代表の退任、さらにはチームの売却についての噂は“クリック数を稼ぎたい人のターゲット”になっていると一応は否定はするものの、肩書の変更を示唆するなど明言は避けている。2014年にメルセデスF1チームのチーム代表に就任したトト・ヴォルフは、圧倒的なパワーユニットの強さ、ルイス・ハミルトンという存在はあったものの、チームのダブルタイトル6連覇に大きく貢献してきた。
しかし、先週、トト・ヴォルフがチーム代表を退任するとともに、アストンマーティンのエグゼクティブチェアマンに就任したローレンス・ストロールとともにチームの所有権を取得するとの報道がなされた。最近、トト・ヴォルフがアストンマーティンの株式を取得したことも噂に拍車をかけた。ダイムラーは即刻その報道を“根拠のない無責任な憶測”だと否定。トト・ヴォルフも報道関係者に噂について語った。アストンマーティンの株式取得についてトト・ヴォルフは「将来に関しては、金融投資としてアストンマーティンの株式をいくらか購入した」とコメント。「ブランドを信じているし、理にかなった戦略だと思っている。(元メルセデスAMGチーフ/新アストンマーティンCEO))トビアス・ムアースのことは長い間知っているし、彼ならビジネスを好転させられると信じている」「現在はアストンマーティンを後援する非常に強力な株主グループがおり、失望させるようなことはないだろう。したがって、そのグループに参加することを決定した」また、メルセデスF1での役割について「私の執行役員としての役割は変わらない」とトト・ヴォルフは語る。「私はメルセデスにおり、チームプリンシパルであり、株主だ。他に重大なニュースがないために、アストンマーティンのことが原因で波が立ち、見出しになっているのは明らかだ。だが、私はメルセデスと一緒に計画を立てているし、ここに留まることが最善だと思っており、それは変わっていない」メルセデスF1チームの30%の株式を保有するトト・ヴォルフは、ディーター・ツェッチェの後任としてダイムラーのCEOに就任したオラ・ケレニウスとの関係がうまくいっていないとも報じられている。この件についてトト・ヴォルフは「二人の関係がうまくいっていないという噂を聞いて、オラと大笑いしたよ」とコメント。「我々は毎週何度も電話で話をしているし、彼もチームの運営について深く関わっている。私にとって、彼は非常に良き相談相手であり、ディーターのときと同じように関係を続けていきたいと思っている」それでも、自身のメルセデスF1での将来についてトト・ヴォルフは明言を避けている。「我々のチームに関して本当に誇りに持っていることのひとつは、常にチームの上級メンバーを異なる役割に移行し、才能を育ててきたことだ。それは私にも同じことが当てはまる。私は幸運にも2014年の初めからメルセデスの指揮を執ることができており、それらの年月を逃したいとは思っていない」「F1チーム、ダイムラーで友人全員と交流し、仕事をするのは本当に楽しかったし、それは逃したくはないことだ。それでも、自分自身に問いかける必要がある。最初の頃ほどチームに加えられることがないことに気づかずに素晴らしい人から良い人に変わっていくようなチームプリンシパルにはなりたくない」「私はまだ多くのことを追加できると感じているが、もちろん、自分の将来のことは考えているし、どのように行っていくかについてオラ・ケレニウス(ダイムラーCEO)と話し合っている。それは単純な雇用契約ではなく、株式保有を伴うことだ」「我々は共同の未来を切り開いていく真っ只中におり、それがチームプリンシパルであろうと、マネージングディレクターであろうと、役割を果たさない肩書に固執したくはない。正直なところ、まだレースは始まってさえいないので、まだ何も決断していない」また、メルセデスのF1撤退が盛んに報じられていることについて、トト・ヴォルフは次のように語った。「常にある種のキャンペーンや議題が進行している。すべての自動車会社が困難で不安定な時代に直面していることは明らかだ」「毎日、雑誌や新聞を開くたびに、フォルクスワーゲン、ルノー、フィアット、ダイムラーに関することが書かれているし、その点においてはスポーツのプラットフォームが疑問視されていることは完全に理解している」とトト・ヴォルフはコメント。「メルセデスのトップマネジメントは非常にF1をコア活動と見なしている。我々はロードカーを製造し、レースカーを製造している。実際、最初の自動車はレースカーだった。その点で我々は価値のあるマーケティング効果を生み出すマーティングプラットフォームとしてだけでなく、共同運動として捉えている。ロードカーとF1の間には技術移転があり、それはダイムラー内で批判されていない」「それでも、我々は毎年すべての活動と投資を話し合っている。我々はいくつか見出しを作ってクリック数を稼ぎたい人々のターゲットに過ぎないと思っている」