メルセデスのF1チーム代表を務めるトト・ヴォルフとレーシング・ポイントF1チームのオーナーであるローレンス・ストロールが、ブラックリーの現メルセデスF1チームの買収に動いていると報じられている。メルセデスは親会社であるダイムラーで13年間CEOを務めたディーター・ツェッチェが退任し、オラ・ケレニウスが就任。2020年末までに8億5000万ポンド(1188億円)超のコストを削減すると発表している。
また、自動車業界が電化への流れを急速に進めていく中で、メルセデスも電気自動車のレースシリーズであるフォーミュラEへの参戦を開始している。さらにメルセデスは2021年からマクラーレンとF1エンジン契約について4年契約を締結したことを発表。1995年から2014年まで続いたマクラーレン・メルセデスのパートナーシップが復活するとなり、ワークスチームとして撤退する予兆であるとの推測が広まった。昨年、トト・ヴォルフはブラジルGPを欠席。将来のF1活動について話し合いが行われたとされ、2020年限りでコンストラクターズとしては撤退し、2021年はエンジンサプライヤーとしてのみに活動を絞ると噂された。次のコンコルド協定ではコストの大幅な削減が予定されているが、現時点でまだすべてのF1チームは2020年末までしか参戦をコミットしていない。その際、トト・ヴォルフはメルセデスのF1への継続的な参戦は“答えを与えられていない”ことを明らかにしている。「新しいコンコルド協定について話し合っている最中だ。これに関連して、またそれとは別に、自動車の開発とスポーツへの影響について議論している」とトト・ヴォルフは述べている。年末には2つの利害関係者がチーム買収に興味をもっているとし、その一人がペンスキーだと報じられたが、ペンスキーはそれを完全否定している。また、トト・ヴォルフは、チェイス・キャリーに代わってF1の最高経営責任者を務める、もしくはルイス・ハミルトンとフェラーリに移籍するとも噂されている。実際にトト・ヴォルフは、リバティ・メディアと交渉したが、フェラーリがその計画を拒否し、トト・ヴォルフに少なくとも3年間の“ガーデニング休暇”を要求したと f1-insider.com は報じている。そのため、F1経営陣への入閣やフェラーリ移籍はないと考えられてる。その後、トト・ヴォルフは、レーシング・ポイントF1チームのオーナーであるローレンス・ストロールと組んで、ブラックリーのメルセデスF1チームを引き継ぐことに方向を転換したという。ローレンス・ストロールは、アストンマーティンの買収が目指しており、2億ポンド(約285億円)の出資を打診している。1月中にもまとまるとされるその取引が成立した際には、2021年からレーシング・ポイントF1チームはアストンマーティンにブランドを変更すると報じられている。しかし、ベテランF1ジャーナリストのラルフ・バッハは、ローレンス・ストロールとトト・ヴォルフは、メルセデスの看板を失うブラックリのチームをアストンマーティンのアイデンティティを与えしようとしていると主張する。元F1最高経営責任者のバーニー・エクレストンは「トトはメルセデスがF1に別れを告げ、エンジンメーカーとしてのみ継続するというイベントに備えることを望んでいる」とコメント。「メルセデスはすでに全てに勝っており、チームにそれほど多くのお金を費やし続ける理由はあるだろうか? イメージに関する限り、会社にとってハイブリッドエンジンでマーケティングを行うのに十分であることは確かだ」「メルセデスが2021年の新しいコンコルド協定にまだ署名していないという事実は奇妙だ」また、トト・ヴォルフとローレンス・ストロールの関係について「彼らは2年間一卵性双生児であり、レース週末であっても一緒に多くの時間を過ごしている」とバーニー・エクレストンは語った。過去にもチーム代表がF1チームを買収して成功した例はある。2008年にF1から撤退したホンダをロス・ブラウンを含めた経営陣が買収。2009年にF1ワールドチャンピオンを獲得している。そのチームが現在のメルセデスF1チームだ。メルセデスのF1チームからの撤退、そして、ローレンス・ストロールのアストンマーティン買収が成功してはじめて成り立つストーリーだが、興味深い噂話だ。