メルセデスのF1チーム代表を務めるトト・ヴォルフは、F1が“激しいレース”を認めるようなレギュレーション変更をするのであれば支持するが、F1カナダGPでセバスチャン・ベッテルに科せられたペナルティは、レギュレーションに則った正しい判断だったと考えている。セバスチャン・ベッテルは、トップでレースでフィニッシュしたものの、コースアウト後にルイス・ハミルトンの前で“安全ではない”合流をしたとして5秒加算ペナルティを科せられて2位に降格。スチュワードの裁定は物議を醸した。
トト・ヴォルフは、“激しいレース”と“危険な走り”は紙一重だと考えているが、F1カナダGPの裁定に関してはスチュワードは単純にレギュレーションを適用しただけだと考えている。 「ドライバーはハイテクマシンに乗ったグラディエーター(剣闘士)なんだと思う。そして、我々は彼らにコース上で戦ってほしいと思っている」とトト・ヴォルフは語り、バンパーカー(遊園地にあるパンパーで囲まれた乗り物)に挙げた。「だが、将来的に激しいレースとバンパーカーとの線引きを見つけることは簡単ではない。FIAは安全性を重要視している」「彼らはどこまでハードにドライブすべきか? ルールを作ることは困難な作業であり、どのような裁定であっても全員を満足させることはできないだろう」「カナダはルールに則って解釈がされた。メルセデス寄りの見方をすれば、あれは正しい判断だったと言うだろうし、フェラーリ寄りの見方をすれば、別の解釈ができたと言うだろう」 「サッカーの審判に少し似ている。1つの判定は常に対立する。私としてはこのような様々な感情が沸き起こることもスポーツにとって素晴らしいことだと思っている」F1ドライバーがもっと激しくレースができるようルールを改定すべきかと質問されたトト・ヴォルフは「投資家、FIA、チーム、もっと激しいレースを認めることについて議論したいと思っている。安全基準と照らし合わせて、ここまではOKとFIAが受け入れられる範囲内でね」 「私は激しいレースには大賛成だし、ルールに反映されればいいと思っている。そうすればスチュワードの判断は変わることになるだろう」 だが、トト・ヴォルフは、レース後にフェラーリを気の毒には思わなかったと述べた。 「気の毒だとは思わない。相手に情けをかけるようなスポーツではない。逆の立場だってあり得る。だが、自分たちに不利なリザルトが出た時のフラストレーションは理解できる」
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