メルセデスのF1チーム代表を務めるトト・ヴォルフが、メルセデスとの契約が2020年末に期限を迎えた後、チャイス・ケアリーの後任としてF1グループの最高責任者を務める可能性が報じられている。メルセデスAMG F1チームの株式は、トト・ヴォルフが40%、ニキ・ラウダが10%、残りのメルセデスの親会社であるダイムラーが保有しているが、事前の決められた評価額でダイムラーはその40%を取得することができるとされている。
RaceFans の報道によると、トト・ヴォルフは“将来について検討している”という。メルセデスは現在ダブルタイトル6連覇にむけてシーズンを戦っているが、2021年以降の新しいレギュレーションと予算制限が予定されており、勢力図は変化する可能性がある。また、今年5月末にはディーター・ツェッチェがメルセデスの最高責任者を辞任することが決定しており、チームの方向性に影響を与えるかの世がある。ディーター・ツェッチェの後任には、現在、メルセデス・ベンツの乗用車部門を統括するオーラ・ケレニウス取締役が就任する。ケレニウスは、EQのブランドで電気自動車の新モデルのイニシアチブをとっており、2020年のメルセデスのフォーミュラE参入を強く支持してきたと言われている。メルセデスの情報源によるとオーラ・ケレニウスとトト・ヴォルフの関係はぎこちないものであり、それがトト・ヴォルフが将来を検討するもうひとつの要因となっているとされている。バクーでそのシナリオについて質問されたトト・ヴォルフは、2020年末でメルセデスとの契約が期限を迎えることと将来を検討していることを認めたが、オーラ・ケレニウスとは好意的な関係があると語っていた。一方、リバティ・メディアの情報源によると、現在CEO兼会長を務めるチェイス・キャリー(65歳)は、2020年にCEOの役割を辞任して会長職のみを継続する意向であるとされ、取締役会でCEOのポジションにトト・ヴォルフを据えることが評価されているという。チェイス・ケアリの契約は2019年までの3年契約だったが、F1の新契約と2021年の新レギュレーションの計画に伴って12ヶ月延長することに合意したとされている。証券取引業界で評価の高いチェイス・キャリーが会長職を継続することで、円滑な移行が可能となり、NASDAQの上場企業であるF1グループは投資家との強い関係を維持することできる。また、2014年にトト・ヴォルフによってメルセデスF1チームを離れたロス・ブラウンが、リバティ・メディアのマネージングディレクターの職を継続するかどうかについては不透明なままとなっている。