メルセデスは、2019年型F1パワーユニット『M10 EQ Power+』で主に冷却構造に改良を施している。2014年にF1にV6ターボ“ハイブリッド”エンジンが導入されて以来、メルセデスのF1パワーユニットは勢力図で常にトップに立ってきた。しかし、昨年はフェラーリがエンジン面で大幅な進歩を果たし、馬力面でメルセデスを上回ったとも報じられている。
メルセデスのエンジン責任者を務めるアンディ・カウエルは、2019年型F1パワーユニット『M10 EQ Power+』は冷却構造を改良してさらなる効率性を求めたと語る。「我々はパワーユニットの冷却アーキテクチャを変更した。クルマに空力的な利益をもたらし、パワーユニットにも効率性の利益をもたらすと期待している」とアンディ・カウエルはコメント。「パワーユニットの核心は、燃焼室で燃料を熱放出に変換し、クランクシャフトから有効に利用することだ。我々は燃焼効率とERSシステムについてステップを果たした。ターボチャージャーアセンブリとMGU-H、インバーター、セル、MGU-Kとの間の結合により、システム全体がより効率的に動作し、レースを通じてエネルギー展開を支援できるようになった」また、チームのタイトルパートナーであるペトロナスは、特に新しいパワーユニットの開発において、パフォーマンスと信頼性の向上を追求する上で重要な役割を果たしたとアンディ・カウエルは語る。「燃料は燃焼の核心にあり、パワーユニットの化学組成と熱力学的構造がうまく協調させることが、熱効率の鍵となる」とアンディ・カウエルは語る。「ペトロナスは我々の熱力学エンジニアとも作業を続けており、2019年の新燃料を生み出すために単気筒エンジンとV6エンジンで数多くの候補を走らせてきた。非常に緻密なグループだ。ペトロナスのエンジニアはエンジンの機能を正確に知っており、パワーユニットのエンジニアは燃料の機能を正確に知っている。また、ペトロナスは、我々のクルマのための潤滑油を提供し、2つの役割を果たしている。パーツが接触しないことを確実にするために、信頼性と摩擦低減のために高負荷部品の間に油膜があることが重要だ。コンポーネントを離し続けることができれば、摩擦はより低く、摩耗はより少なくなる。だが、潤滑油はエンジン内の冷却も提供する。それはエンジンの重要な要素であり、それはエンジンが生き残るための生命線だ」2019年のF1世界選手権では、最大レース燃料許容量が5キロ増加し、合計110キログラムとなった。しかし、燃料許容量はF1パワーユニットの熱効率には影響を与えないとアンディ・カウエルは語る。「効率的なエアロダイナミクスを備えた効率的なエンジンがあり、少しのリフトと惰行をする準備ができていれば、110kg以下でレースをスタートするうチャンスがある」とアンディ・カウエルは説明する。 「5kgの重要を節約できれば、1周毎が約0.2秒速くなり、レースをスタート時に少し軽量にできる。パワーユニットとエアロダイナミクスの両方で効率的なクルマを作ることと、レースのスタート時だけでなく、レースの間もペースが良いことを確認するために賢くレースすることにはまだ競争上の優位性がある」
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