メルセデスのF1チーム代表トト・ヴォルフは、2019年のF1世界選手権で導入される新しい空力レギュレーションがレースに質に与える影響について疑問を投げかけている。昨年までのレギュレーションでは、気流をマシンの周りに押し付けることが可能となり、その結果として発生するする乱気流によって後続のクルマに不安定さをもたらし、結果としてタイヤやブレーキ性能を及ぼしていた。
今年、F1には乱気流に対するマシンの感度を下げて、レースの質を向上させることを目指して、フロントウイングとバージボードなどを簡素化する空力レギュレーションの変更が実施される。これにより、理論的にはより強いスリップストリームが得られることになる。「現時点ではマシンに追従するのは非常に難しい。ダウンフォース、タイヤのグリップが失われてしまう。オーバーテイクには本当に酷い」とトト・ヴォルフは語る。「例えば、F2のようなジュニアクラスを見れば、実際そこでは素晴らしいレースが繰り広げられている。彼らは近づくことができる」ロス・ブラウンは、2019年の空力変更によってレースが“20%の改善”を果たすという調査結果を公表しているが、トト・ヴォルフは、F1チームは気流を導いて、パフォーマンスを維持するための抜け穴を見つけることになると考えている。「目的は空力を減らして、気流をマシンの上部に向けることだったが、全てのチームは2000人のエアロダイナミストと戦っているし、それほど多くの変化は起こらないだろう」ルイス・ハミルトンもトト・ヴォルフの懸念に同調。それに加えて、ピレリのF1タイヤがレースの質に影響を与えていると付け加え、メルセデスはタイヤの理解を深めることに取り組んでいると述べた。「他のクルマの後ろに着くと気流の大部分を失ってしまう。クルマがそれをブロックしているからね。そして、タイヤからのメカニカルグリップはさらに低下する。そこが僕たちが絶えず改善しようとしているエリアだ」とルイス・ハミルトンはコメント。「タイヤを理解することはほとんど不可能だ。本当に未知の領域だし、僕たちが絶えず開発し、理解しようとしている科学だ」