メルセデスのモータースポーツ責任者を務めるトト・ヴォルフは、ジュニアドライバーであるエステバン・オコンの将来を取り巻く状況は“本当に複雑”であると述べた。カナダの大富豪であるローレンス・ストロールによる旧フォースインディアの買収により、来季は息子であるランス・ストロールがセルジオ・ペレスのチームメイトを務めるのは確実だとされており、早ければ今月のロシアGPにも移籍が実現するとも噂されている。
その動きを察知したメルセデスは、ルノーにエステバン・オコンを移籍させるよう動いたが、最終的にルノーはダニエル・リカルドの獲得を選んでいる。その後、マクラーレンが候補チームとして浮上し、エステバン・オコンもシート合わせを行ったことを認めていたが、マクラーレンは2019年のドライバーとしてカルロス・サインツとランド・ノリスを起用することを確定している。「ドライバーに関する状況は本当に複雑だ」とトト・ヴォルフは Crash.net にコメント。「エステバンに関して、我々はルノーと契約を結ぶのは明らかだと見ていた。だが、48時間以内に物事は変わった」「突然にして契約は合意とはならなくなった。しかし、私はルノーがダニエル・リカルドを獲得するという根拠は理解できる」「エステバンにとって、状況がそのように展開したことは理想的ではなかった。タイミングの問題なのか、コミュニケーションが透明ではなかったのかわからないが、そのような理由によって能力のある子に来年のための適切なシートを見つけられないのは本当に残念だ」ランス・ストールと入れ替わるかたちでウィリアムズに加入する可能性も残されているが、ウィリアムズはロバート・クビサをリザーブドライバーとして起用している。契約ではストロールの空席を埋める最初のドライバーとなることが規定されているとされ、そのシナリオは複雑となっている。2019年にウィリアムズのドライバーを務める選択肢もないわけではないが、メルセデスは同じジュニアドライバーのジョージ・ラッセルというジレンマを抱えている。現在、ラッセルはF2選手権でランキングトップに立っており、ルールではチャンピオンを獲得したドライバーは翌年にはF2には参戦できない。また同じようなシート不足の状況はパスカル・ウェーレインにも起こっている。マノーとザウバーでF1を2シーズン戦ったウェーレインは、2016年末に引退したニコ・ロズベルグの後任候補にも挙げられていたが、現在はDTMに復帰。だが、メルセデスは今シーズン限りでDTMから撤退することが決まっている。トト・ヴォルフは、エステバン・オコンのF1における長期的な見通しはポジティブなままだが、F1への道を阻まれ続けているメルセデスの若手ドライバープログラムの役割に疑問を持ち始めていると認める。「エステバンに関する長期的な見通しには依然として非常に楽観的だ」とトト・ヴォルフはコメント。「彼は走れるし、素晴らしいパーソナリティの持ち主だ。実際、彼はレースに勝利し、おそらくチャンピオンになれるクルマに乗ることになるだろう」「我々がこれをやっている理由は、資金が不足している若い才能を援助することに素晴らしい喜びを感じられるということが根底にある。だが、我々のサポートがF1まで続いたとしても、適切なシートを得ている人々にとって有害となるのであれば、そのような状況を考える必要がある」「彼らのためにF1で居場所を見つけられないのであれば、それはあまり意味のないことであり、F1のドライバーのレベルという点で残念なことだ。ジョージ、パスカル、そして、エステバンがどのような成果を出しているかに応じて、年末に取締役および経営陣と話し合う予定だ」過去6戦中5戦でポイントを獲得しており、ワールドチャンピオンのルイス・ハミルトンとセバスチャン・ベッテルもその実力を認めるエステバン・オコンは、メルセデスが自分をF1グリッドに残してくれると信頼していると語る。「メルセデスからのサポートがあるし、現在もそれを目にしている」とエステバン・オコンは説明。「彼らは僕を助けてくれているし、来年の僕のためのシートを確保する解決策を見つけるために全力でプッシュしてくれている。それがここまで僕が見てきたことだし、彼らはずっと良い決定をしてくれてきた。僕もずっと彼らを信頼してきたし、今でもそれは変わらない」
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