メルセデスのモータースポーツ責任者を務めるトト・ヴォルフは、ライバルのフェラーリはF1ハンガリーGPで1-2フィニッシュを達成したにも関わらず“本来のペースを発揮していなかった”と警戒を強めている。F1ハンガリーGPでは、フェラーリが予選でフロントローを独占し、決勝では今季2度目の1-2フィニッシュを達成。セバスチャン・ベッテルがチームメイトのキミ・ライコネンを抑えてトップでチェッカーを受け、ドライバーズランキングで2位のルイス・ハミルトンとの差を14ポイントに広げて夏休みに入った。
レース中、セバスチャン・ベッテルは、ステアリングのトラブルを抱えており、ペースに苦しんでいた場面もあった。しかし、レース終盤はキミ・ライコネンの援護射撃を受けるかたちとなり、メルセデスの2台からプレッシャーをかけられながらもトップを守り、今季4勝目を挙げている。トト・ヴォルフは、セバスチャン・ベッテルが問題を抱えていたことで、フェラーリの本来のレースペースは覆い隠されていたとみている。「彼らがペースを発揮していたとは思わない。セバスチャンのマシンは、ステアリングが左に傾いたことで明らかにダメージを負っていた」とトト・ヴォルフはコメント。「さらにセバスチャンがピットに入り、フリーエアとなった際のキミは非常に速いセクタータイムを記録していた。彼らがベッテルをステイアウトさせていたら、ライコネンはオーバーテイクしていただろう。また、ベッテルは新しいタイヤで追い上げていたが、アロンソがレースの最速タイムを記録したと聞いている」「やはり、あれはフェラーリの真のペースではなかったと思っている。マシンにダメージを負っていた。レース終盤、メルセデスはルイス・ハミルトンをフェラーリ勢に挑戦させるためにバルテリ・ボッタスとの順位を入れ替えさせている。そして、成功しなかった場合には順位を元に戻すという事前の約束通り、ファイナルラップで両者に準備を入れ替えさせた。トト・ヴォルフは、後半戦のタイトル争いに影響するかもしれないことを考えれば、チームにとって過去5年間で最も難しい決断だったと認めており、そのような立場にいることは“喜べるものではない”と語っている。夏休み後、メルセデスはドライバーズ選手権でのアプローチを変える可能性はあるか質問されたトト・ヴォルフは「我々はこのやり方で6つのチャンピオンシップを獲得してきた」とコメント。「そして、今後も多くのチャンピオンシップに勝ち続けるだろう。今回は3ポイントを失ったことになるし、場合によってはチャンピオンシップに影響が出てくるかもしれない。それは十分に承知している」「だが、これが我々のドライバーとチームのやり方だ。有言実行を貫いていく。その結果、もしチャンピオンシップを失ったとしたら、それを受け止める。だが、長期的には今後もこのアプローチでより多くのレースとチャンピオンシップに勝っていくとはずだ。アプローチを変えるつもりはない」