F1のスポーティングディレクターを務めるロス・ブラウンは、マクラーレンは元エンジンサプライヤーのホンダが復帰後F1初優勝を収めたのを見て“思考停止”に陥ったに違いないと語る。マクラーレンとホンダは、かつての黄金時代を再現することを目標にして2015年に再びタッグを組んだが、新生マクラーレン・ホンダは期待とは程遠いパフォーマンスに終始し、2017年末に決別した。
ホンダはマクラーレンに無償でエンジンを供給していただけでなく、マクラーレンに何億円もの予算を提供していた。それだけでなく、マクラーレンはホンダとの提携を解除し、ルノーにF1エンジンを切り替えるために契約破棄のための違約金を支払わなければならず、財政的に大きな痛手を負った。ホンダは、2018年からトロロッソとの新たにパートナーシップを開始し、今年からレッドブルがそこに加わった。そして、先週末のF1オーストリアGPではパートナーシップ発表からわずか1年足らずでレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが優勝。ホンダに2015年のF1復帰以降初、通算では2006年8月のハンガリーグランプリ以来13年ぶり73度目のグランプリ制覇をもたらした。ロス・ブラウンは、マクラーレンとルノーとの現状を称賛しつつも、マクラーレンはホンダの勝利を見て複雑な心境だったに違いないと語る。「何年にもわたって苦しんできたマクラーレンだが、順調に回復し、一連の結果によって4位の有力候補となっている。それは“ノーマル”なチームが今年に目指すことができる最大の結果だ」とロス・ブラウンはコメント。「日曜日に13年ぶりにホンダがエンジン製造業者として勝利したという事実は彼らに思考停止をもたらしたのは間違いないかもしれない。だが、彼らはエンジン供給者のルノーの公式チームに20ポイント差をつけていることについてだけ喜ぶことができる」また、ロス・ブラウンはまたマクラーレンのカルロス・サインツとランド・ノリスのペアを称賛。なかでもランド・ノリスについては今季のルーキーのなかでベストだと称えた。「チームはドライバーのペアに非常に満足している。ランド・ノリスは間違いなくフィールドの3人のルーキーの中で最も印象的だ。4回のポイントフィニッシュと予選で強力なパフォーマンスを何度か披露している」「カルロス・サインツも彼の価値を証明しており、特に引退していないレースにおいて、彼が後列からスタートして8位でフィニッシュした先週の日曜日のレースはおそらく彼のベストだった」「マクラーレンは今年の9レースで52ポイントを獲得した。それは2018年全体で獲得したものよりわずか10ポイント少なく、2017年の得点よりも22ポイント多い。進歩のさらなる証拠となっている」