マクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエは、2021年のF1レギュレーションでは、チーム間の実力差を縮めるような“制限”を含める必要があると考えている。2018年のF1世界選手権の初戦となったF1オーストラリアGPでは、予選Q1での最速チームと最下位チームとの差は1.732秒と、2014年にハイブリッド時代になって以来、その差は最も少ない結果となった。
しかし、予選Q3では5番手のダニエル・リカルド(レッドブル)と6番手のケビン・マグヌッセン(ハース)との差は1秒以上に広がった。上位グループのタイム差も大きく、ポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)と2番手のキミ・ライコネン(フェラーリ)との差は0.664秒もあった。「それが現実だ。レギュレーションは数年前に起草され、これが我々の現状だ。我々全員のパフォーマンスが頭打ちにならない限りは同じことになるだろう」とエリック・ブーリエはコメント。「メルセデスはハイブリッド時代の開始以降、非常に競争力のあるエンジンとクルマを設計している。そこに追いつくのは非常に難しいように思える」「今後、我々はリバティメディアとFIAから2012年の新しいレギュレーションパッケージを入手する必要があるが、ギャップを縮め、競争力を平等にするための十分な制限が含まれることを期待している」昨年、F1の新オーナーとなったリバティメディアは、F1バーレーンGPで2021年にスタートする新しいF1レギュレーションの最新の計画をチームとエンジンメーカーに提示する予定となっている。リバティメディアにとってもチーム間のギャップを減らすことはF1の将来にむけての目標のひとつであり、そのための潜在的な施策として予算キャップやパーツの標準化が検討されている。エリック・ブーリエは「我々全員が素晴らしいショーを望んでいるし、クルマがコース上でホイール・トゥ・ホイールのバトルをしているのを見たいと思っている」と続ける。「そのためには、最速マシンと最下位マシンとの競争力レベルをもっと拮抗させる必要がある」ハースF1のチームプリンシパルを務めるギュンター・シュタイナーもエリック・ブーリエの意見に同意。現在の中団チームは“残り物”を賭けて戦っているだけだと嘆いた。「レギュレーション、そして、F1の将来は、競争力を平等にする、もしくはできる限り近いものでなければならない」とギュンター・シュタイナーはコメント。「現時点では大きなギャップがある。トップ3チームがチャンピンシップを争い、我々は残り物を戦っているようなものだ」「彼らはお金を稼ぎ、それを費やし、投資するという点で良い仕事をしているが、我々はできていない。それも競争の一部だが、スポーツにとって良いことだろうか? 私はそうは思わない」