マクラーレンは、F1ドイツGPで、ルイス・ハミルトンが優勝。ヘイキ・コバライネンは5位だった。スタートから圧倒的なペースでトップを独走したハミルトン。しかし、ティモ・グロックのクラッシュによるセーフティカー時に、チームはピットインせず、コース上に留まる決断をした。この決断が裏目に出て、2度目のピットストップのあと4位まで順位を落としたハミルトンだったが、そこから怒涛の追い上げをみせ、メルセデス・ベンツの地元ドイツで、今季4勝目をあげた。(コバライネンのオーバーテイクは、ややグレーな追い越しだったが・...
ルイス・ハミルトン (1位)「今日は何もかもうまく行った。わずか7周で23秒のリードを稼ぎ出せと指示された時は、限界を超えなければならないなと思ったが、やり遂げることができた。今週末はマクラーレン・メルセデスがベストマシンだったので、プッシュしても余裕を感じていた。だから絶対にできる、と思っていたのも事実だ。最終スティントは、僕にとって雌雄を決する戦いだった。セーフティカーが入った時に、ピットに入るべきかどうかチームに訊ねたが、ベストの戦略を採ってくれると信じていた。必ずしもその戦略がうまく行ったわけではないが、今日のマシンフィールならどんどんプッシュできるとも思っていた。ヘイキは、こちらの方が速いと分かっていた。抵抗せずにいてくれたヘイキに感謝したい。フェリペ(マッサ)のスリップに入って完璧にパスできた時は、これで仕事は終わった、と確信した。同じことをネルソン(ピケJr.)に繰り返せばいいと分かったからね。今日の勝利を導いてくれたのは、スタッフのハードワークにほかならない。天狗になってはならないが、努力は必ず報われることは覚えておいていいだろう。今日は完璧なレースだった」ヘイキ・コバライネン (5位)「かなり難しい展開だった。うまくスタートを決めて、あとわずかでフェリペの前に出られるところだった。だが、オーバーテイクするにはスピードが足りなかったし、タイヤパフォーマンスを最大限に引き出せなかった。セーフティカーもプラスにはならなかった。ピットストップでポジションを下げることになってしまった。クビサの後ろでタイムをロスしたが、2ラップを使って彼をオーバーテイクすることができた。その後はほとんど何もないレースだった。5位という結果に満足はできない。ハンガリーGPに気持ちを切り換えて、今度は表彰台圏内で戦えるよう全力を尽くしたい」 ロン・デニス「ボーダフォン・マクラーレン・メルセデス・“チーム”にとって、2戦連続で素晴らしい結果になった。敢えて“チーム”と入れたのは、今回は完璧なチームワークの勝利だったからだ。セーフティカーが導入され、我々は難しい決定を強いられてしまった──ルイスをピットに入れるか否か。結局、十分な燃料を積んでいるので50周目までそのまま走らせることにした。ストレートに散乱したマシンの残骸が思ったより早く片づいたので、セーフティカーも我々の予想より早くピットロードに入った。この結果、2度目のピットストップを終えたルイスは、首位でレースに復帰できなかった。その後の走りは神がかり的なもので、見事に勝利を掴んでくれた。ヘイキはオープニングスティントでオーバーステアに見舞われた。ピットストップ中に修正を試みたものの、続くスティントでもオーバー気味だったようだ。ルイスと互角のペースで走れなかったのはそのせいだ。彼は自分の置かれている状況を正確に把握し、さらにルイスの状況も瞬時に理解した。ルイスのマニューバーに敢えて抵抗せず、オーバーテイクを許したのは、ヘイキのプロフェッショナリズムとスポーツマンシップの証明だ。ヘイキは苦しい状況の中、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。ロバート・クビサを攻略したアクションは、センセーショナルと言っていい。彼にはウィナーの資質も資格も十分にある。そ遠くない将来、彼の日が訪れるに違いない。戦闘力だけでなく、チームプレーの精神も持ち合わせるふたりのドライバーと仕事ができるのは、本当に素晴らしい」ノルベルト・ハウグ「センセーショナルな勝利だ。ボーダフォン・マクラーレン・メルセデスにとって2戦連続のホームGPで、素晴らしいオーバーテイクを見せてくれた。ルイスはライバルを完全に圧倒していた。セーフティカーピリオドでルイスをピットに呼ばなかった結果、おそらくは今シーズンのベストと称されるオーバーテイクを2度も見ることができた。今日の勝利は個人的にも大変嬉しく思っている。『ありがとう、ルイス!』さらに、素晴らしい仕事をしてくれたスタッフにも感謝の意を表したい。ピットクルーだけでなく、マーケティング、広報、総務など普段は裏方の仕事をしているスタッフを含めて、全員にお礼を言いたい。さらに、メルセデス・グランドスタンドに陣取り、我がチームに力強い声援を送って下さった良き友人および来賓の皆さまにも、御礼申し上げる次第である。今日はエキサイティングなレースとF1ならではの雰囲気をお楽しみいただけたことと思う」