新型コロナウイルスの世界的大流行で2020年のF1世界選手権は10戦が延期・中止となり、現在、F1チームは収入を得ることがてきていない。すでに5つのF1チームがリバティ・メディアから分配の前払いを受けていることが明らかになった。少なくとも7月までレースがないことで、F1チームのファクトリーは3月から9週間にわたって義務的な閉鎖を余儀なくされている。
英国に活動拠点があるマクラーレン、ウィリアムズ、レーシング・ポイント、ハース、ルノーは英国政府の支援スキームを利用するために従業員の一時解雇を実施。ドライバーや上級職員の給与のカットも実施し、支出を抑えようとしている。マクラーレンのCEOを務めるザク・ブラウンは、F1が新型コロナウイルス危機に対して適切な対応をしなければ4チームを失うとして予算上限を1億ドルまで引き下げる必要性を訴えており、ウィリアムズの副チーム代表を務めるクレア・ウィリアムズもレースを再開しなければ多くのチームが消滅する危険性があると警告している。リバティ・メディアは、F1チームを救済するためにすでにいくつかのチームに分配金の前払いを実施している。Auto Motor und Sport によると、前払いを受けたのはハース、アルファロメオ、レーシングポイント、アルファタウリ、ルノーの5チームだという。アルファタウリとルノーが前払いを受けなければならない状況にあるのは注目に値する。また、ウィリアムズとマクラーレンが言及されていないことも興味深い。フェラーリ、メルセデス、レッドブル、マクラーレン、ウィリアムズは毎年のF1からのボーナス支払いという形で保証された収入がある。だが、自動車メーカーであるメルセデス、そして、レッドブルのエンジン供給元であるホンダは、自動車販売という根幹のビジネスの影響次第では、F1から撤退する可能性も考えられる。F1が発表した2020年の第1四半期決算では売上高が84%減であることが明らかになり、第2四半期もレースがないことでさらに状況は悪化することが想定されている。だが、幸いなことにリバティ・メディアはまだ財政的危機に陥っていない。現金は25億ドルあるとされている。それでも、現在、F1へのローンを返済するために株主に7億5000万ドルに追加投資をオファーしている。