世界的な新型コロナウイルスの危機的状況は、2020年のF1世界選手権を混乱に陥れる可能性がある。新型コロナウイルスが発生した中国での4月19日のグランプリはすでに延期が決定しているが、現状では序盤戦のオーストラリアGP、バーレーンGP、ベトナムGPの3つのレースの開催が疑わしい状況になっている。
F1のCEOを務めるチェイス・キャリーは電話会議で、このF1は確実に「メルボルンに向かい、バーレーンに向かい、ハノイに向かう」と語った。しかし、F1プレシーズンテストが開催されているバルセロナでも、イタリアに拠点を置くフェラーリとアルファタウリのチームメンバーは家にいる必要があった。「多くのエンジニアが予防措置としてここに来ていない」とフェラーリのF1チーム代表を務めるマティアビノットは明らかにした。「我々にとって懸念であることは間違いない。用心深く、適切に行動するよう心掛けている」バルセロナでは、一連の危機会議が予定されているが、最大の懸念は、チームスタッフが制限のある国に渡航することができるかどうかだ。開幕戦の地であるオーストラリアでは、スコット・モリソン首相は2月27日(木)に新型コロナウイルスの感染拡大を受け「世界的な大流行(パンデミック)のリスクが非常に高い」との見方を示し、緊急対策計画を実施すると発表。現時点ではスポーツなど大規模イベントの中止は求めないが、感染拡大に備え医薬品や防護服などに不足が出ないよう手配を進める。また、ベトナムもハノイでのレースが問題を抱える可能性があることを認めている。「3月の状況が複雑になった場合、キャンセルしなければならないかもしれない」とハノイ人民委員会議長のグエン・デュク・チョンはDPA通信にコメント。「レースが開催されるのは100%確実だと言うことはできない」バーレーンへの旅行者に適用される渡航制限も、3月22日に予定されているレースを脅かしている。いくつかの出版物は、5月のF1オランダGPまでシーズンを開始できないかもしれないと推測している。「新型コロナウイルスは本当に大きな影響を与える可能性がある」とレッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは語る。オーストラリアはすでにシンガポールもしくは香港経由での入国を禁止しているし、ドバイ経由でバーレーンに入ることもできなくなっている。それらは多くの人たちにとって重要な乗り継ぎ地点だ」とヘルムート・マルコは ORF に語った。「新型コロナウイルスの影響は、我々のスポーツにとって非常に広範囲に及ぶ可能性がある。特に物流上の課題は大きくなりすぎる可能性がある」アルファロメオのチームマネージャーであるベアト・ツェンダーは、創造的な物流ソリューションでは問題を解決することさえできないかもしれないと語る。「まず、単純に何百人もの人々のために再予約することはできない」とベアト・ツェンダーはAuto Motor und Sportに語った。「第二に、状況がどのように発展するか誰もわからない。今日はオマーンを予約することができるが、明日はオマーンは閉鎖される」ハースのF1チーム代表ギュンター・シュタイナーは、物流上の問題について話し合う会議が予定されているが、「実際に準備することははできない。我々にできるのは対応することだけだ」と警告している。アルファロメオ・レーシングのリザーブドライバーを務めるロバート・クビサは、状況を考慮して飛行機ではなく車でバルセロナに移動することを決めたと語った。「イタリアなどで起こっていることを耳にしていたので車で来た。空港が閉鎖されていても家に帰ることができるからね」「重要なことは全員が健康であることだ。僕たちのようなドライバーは運転することは重要だし、それが僕たちの生き方だけど、最も重要なことは健康だ」