“子供たちに夢を”・・・F1新オーナーとFIA(国際自動車連盟)が新たに発表した“グリッドキッズ”のイニシアチブだが、ファンにはしらけムードが漂っている。F1は先週、露出度の高い衣装を着た女性は“現代の社会規範にそぐわない”として、何十年にもわたって伝統的にF1グリッドに華を添えてきた“グリッドガール”を廃止することを発表。
これは主にフェミニスト団体からの苦情、社会問題となっている“女性蔑視”“セクハラ”対策への措置ではあるものの、これまでグリッドガールを務めてきた女性たちの“仕事を奪う”ことになる決定にモータースポーツ界だけでなく、スポーツ界全体を含めた世界的な論争へと広がった。そんな中、F1は5日(月)に2018年のF1世界選手権からグリッドガールに代わってボードを持つ“グリッドキッズ”を起用することを発表。各国のジュニアカテゴリーでモータースポーツに出場している子供たちがF1というモータースポーツの頂点に足を踏み入れる『夢を与える』企画であると大々的に発表した。サッカーでは“エスコートキッズ”または“フェアプレーキッズ”と呼ばれる子ども達を選手入場の際に起用し、『子どもたちに夢を与える』と同時に『フェアプレー精神を大切にし、サッカーをする者は皆仲間であるということをアピール』するという意味を持たせている。しかし、“女性”をテーマに社会的なテーマにまで広がったグリッドガール問題だけに『夢』だけをテーマにした今回の決定にファンの反応はいまいちだ。グリッドガールは、各国の文化を伝える役割を持たせるとともに、スポンサーの広告塔として“仕事”としての役割があった。今回の決定は、最終的にF1はグリッドガールを“仕事”とは見なしていななかったとも受け取れる。今回のグリッドキッズの起用についてウェブ上では好意的な意見もある一方で「そこまでしてグリッドボードを持たせる役割は必要?」「子供に労働を強いる改悪だ」「女性がダメなら子供でって安直な考え方だと思う」「子どもを出しとけばいいと思うな」「女性差別を訴える集団への対策にはなる」「発想が世間と少しズレてるような気がする」と言った意見やさらには「炎天下のグリッドに30分近く立たせる」ことへの健康面を理由に「今後は“児童虐待”だと騒ぎ出す奴らが出てくるのでは」との冷ややか声も湧き上がっている。すでにグリッドキッズは、日本のスーパーフォーミュラや海外のファーミュラEを始めとするモータースポーツカテゴリーで企画として実施されており、嬉しそうなボードを持って立つ子供たちの表情は好印象を与えている。決して子供たちに罪はない。だが、“ショーの改善”をマニフェストに掲げてF1改革を進めている今回のリバティメディアの“安直”とも受け取れる決定に懐疑的な見方は多いようだ。