日産とニスモは、革新的な電力駆動レーシングカー「Nissan ZEOD RC」を17日、日本で初めて公開した。Nissan ZEOD RCは、ル・マン24時間レースの主催者であるACO(西部自動車クラブ)から、革新的な技術を披露するマシンのための特別エントリー枠「ガレージ56」が与えられており、2014年の同レースへの参戦を予定している。
日産は、将来的に計画しているLMP1クラス参戦を見据えながら、新しい電気自動車技術を開発するためのテスト車両として「Nissan ZEOD RC」を活用していく。今年のル・マン24時間レースで発表された展示用のプロトタイプに比べ、今回公開したマシンは、新型の冷却インテーク、エアロダイナミクスの変更など、大幅な改良が施されている。Nissan ZEOD RCは、ニスモ本社において、ニスモ社長の宮谷正一、日産グローバルモータースポーツダイレクターのダレン・コックス、そして日産ダイレクターオブモータースポーツイノベーションであるベン・ボウルビーによってアンベールが行なわれた。「この『Nissan ZEOD RC』は、電気自動車『日産リーフ』をベースとした初めてのEVレーシングカーであるNissan LEAF NISMO RCの開発を通じて蓄積した技術を活用しています。例えば、Nissan LEAF NISMO RCのエネルギーマネジメントや高効率な回生システムなどは、EV技術をモータースポーツに活用していく重要なステップになるものと考えています」と宮谷正一は述べた。Nissan ZEOD RCは、ル・マン24時間レースが開催される8.5マイルのサーキット1周を電力だけで走行する初めてのマシンとなる。このマシンの最高速度は時速300km以上に達し、LM GTE車両よりも高い速度で、フランスが誇る名サーキットを走行することになる。ドライバーは、電力駆動と小型軽量ターボエンジンによる駆動を切り換えることが可能で、ブレーキ回生により、バッテリーに充電する。今週末、富士スピードウェイで開催されるFIA世界耐久選手権(WEC)で日本のファンは、この「Nissan ZEOD RC」を間近で見ることができる。「『Nissan ZEOD RC』は、ル・マン24時間レースへの参戦を目指す挑戦の中で重要な局面を迎えます」とダレン・コックスは述べた。「今回の活動で私たちが掲げる目標は、日産が開発している革新的な技術をファンのみなさんの前で披露することにあります。『Nissan ZEOD RC』の実車が初めて姿を現す舞台は、WEC富士戦以外に考えられませんでした。私たちは日本のファンのみなさんにお見せするために、英国で行っていたテストを中断し、マシンを日本まで空輸したのです」「来年のル・マンへの招待だけでなく、この日本でマシンを披露する機会を与えてくださったACOとFIA(国際自動車連盟)に、心より感謝申し上げます」「ミハエル・クルムは今後、ルーカス・オルドネスと共にテストドライバーとして、このマシンの開発に携わります。全日本GT選手権(SUPER GTの前身)やFIA GT1世界選手権でタイトルを獲得した彼の経験は、今回の活動において大変強い武器になります。クルムは自身でも日産リーフを所有しており、公道を走る電気自動車の将来に、熱い情熱と期待を抱いています」日産は、これまでに日産リーフを世界で8万台以上販売しており、量産電気自動車におけるグローバルリーダーとしての地位を築いている。そして、このNissan ZEOD RCは、電気自動車でレース界をリードしていくための第一歩となる。「この『Nissan ZEOD RC』には、これまでル・マンでは見ることのなかった技術を投入します。ファンのみなさまにも非常にユニークな経験をしていただけると思います」とベン・ボウルビーは述べた。「このマシンが静かにミュルサンヌ・ストレートを時速300kmで疾走する光景は、非常にユニークなものになるでしょう。バッテリー技術をこのル・マン・プロトタイプマシンに取り入れることは、壮大な挑戦となりますが、これは将来のLMP1活動にとって非常に有益なものとなるだけでなく、将来の日産リーフやその他の量産電気自動車の開発にも役立つことができると考えています」
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