ランド・ノリス(マクラーレン)は中国GPのメディアデーで、2026年F1マシンのドライビング特性について厳しい見解を示した。新レギュレーションによって内燃機関と電力の配分が50対50となり、エネルギー回生とバッテリー運用の重要性が大きく高まったことで、ドライバーが求められる走らせ方は従来のF1とは大きく変わったという。開幕戦オーストラリアGPでは、コーナーで減速してエネルギーを回収しなければならない特性が予選の見え方にも影響し、ドライバーたちからは相次いで不満の声が上がっていた。
マックス・フェルスタッペンがフォーミュラEを引き合いに出して皮肉を口にし、フェルナンド・アロンソも鈴鹿の130Rのような象徴的コーナーの価値が薄れたと語るなか、ノリスもその意見に同調した。限界までクルマを攻める感覚ではないランド・ノリスは、新世代F1マシンではクルマそのものを限界まで攻めるというより、パワーユニットをどう扱うかが中心になっていると語った。「今はクルマを運転しているというより、パワーユニットを運転しているようなものだ」とランド・ノリスは語った。「『とにかく最速の方法でクルマを走らせろ』という感じではない。今はそういうものではない」「求められるドライビングスタイルはまったく違う。これまでやってきたことを全部忘れて、リセットするようなものだ」勇気比べではなく“どこで戻すか”の勝負ノリスはその違いを説明する例として、スパ・フランコルシャンのプーオンを挙げた。かつてならドライバーの胆力が問われた高速コーナーも、いまや別の要素で差がつく場面になったという。「ドライバーは、パワーユニットを正しい方法で扱うことでまだ違いを生み出せると思う。でも、それは必ずしもクルマをより上手く走らせるという意味ではない」とノリスは語った。「今のプーオンに飛び込んで、誰が一番度胸があるかを見ることはない。どこで正しくアクセルを戻すか、どれだけのスロットルを使うか、それによってパワーを使わず、バッテリーも消費しないようにできるか、そういうことを見るだけだ」子どもの頃に思い描いたF1ではないノリスは、いまのF1が若い頃に憧れたカテゴリーとは大きく異なるものになったと率直に語った。ただしその一方で、ドライバーの役割そのものが小さくなったとは考えていない。「そうは思わない。ただ、かなり大きく変わっただけだと思う」とノリスは語った。「以前はクルマそのものから、純粋にドライバーとして、どうやって1ミリ秒でも引き出すかという世界だった。エンジンのことは脇に置いておけた。みんなにとってかなりいい状態にあったからだ。要するに、その日に誰がクルマから一番多くを引き出せるか、それだけだった」「僕たちは人生ずっと、アクセルとブレーキで走ってきた。基本的にはアクセルをより多く、ブレーキをより少なく使うということだ。でも今は、F4、F3、F2で学んできたすべてを忘れて、まったく違うやり方で運転しなければならない」「ドライバーはまだ大きな影響を与えられるし、パワーユニットを正しく扱うことでも確実に差を生み出せる」「ただ、それは僕たちの誰もが育つ過程でやってきたことではない。たぶん、誰もそんなことをやりたくて育ってきたわけでもない。でも、今はそういう時代なんだ」ラッセルの仕事ぶりにも言及ノリスはそのなかで、開幕戦で強さを見せたジョージ・ラッセルにも言及した。新しい要素を誰より早く理解し、パッケージ全体を最適化している点は評価に値すると認めている。「ジョージ・ラッセルも、こうしたことを理解するうえで非常にいい仕事をしている。彼は自分の持っているパッケージを最適化し、こうした要素を他の誰かより上手く理解している可能性がある。その点で称賛されるべきだ」とノリスは語った。「だからドライバーはまだ大きな違いを生み出せる。クルマそのものをどう最大化するか、そしてパワーユニットと組み合わせてどう最大化するか、それが次の段階になる。でも現時点では、まずひとつを最適化し、それからもうひとつに焦点を移す必要がある」違和感のある“最小スロットル”特にドライバーたちが違和感を覚えているのが、バッテリー回生のために必要な走らせ方だ。ブレーキング時の運動エネルギーを回収してバッテリーに戻し、それを1周のなかでブーストとして使う現在の仕組みは、従来の感覚とは大きく異なる。「本来ならもっとアクセルを踏みたい場所で、できるだけ少なく踏まなければならないのはかなり奇妙な感覚だ」とノリスは語った。「いくつかのコーナーでは大きくリフト・アンド・コーストしなければならない。これも僕たちが育つ過程でやってきたことではないし、やりたいと思ってきたことでもない。でも、今のルールではそういう状況なんだ」「だから、今のF1カーの運転方法に満足していないドライバーがいたとしても、ここはF1であることに変わりはないし、自分にできるベストを尽くすしかない。今はそういうものだ」
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