ランス・ストロール(アストンマーティン)は、2026年F1レギュレーションに対してこれまでで最も強い言葉で批判を展開した。マイアミGPを前にしたメディア対応で、現行マシンのコンセプトやレースの在り方そのものに疑問を投げかけている。一方で、同じパドック内でも見解は分かれており、バルテリ・ボッタスやF1首脳陣は現状をより冷静に評価している。ドライバー体験と競技全体の方向性、そのギャップが改めて浮き彫りとなった。
ストロール「レギュレーションは完全に間違っている」ストロールは、2026年レギュレーションについて明確に否定的な見解を示した。「うまくいけば、ハーフスロットルや、レースや予選を台無しにするあらゆる要素が改善されることを願っている」「まだ“本来のF1マシン”には程遠いと思う。バッテリーのことを気にせず、常に全開でプッシュできる状態じゃない」「僕たちはあるべき姿から大きくかけ離れている」「レギュレーションは本質的に完全に間違っている。僕はエンジニアじゃないけど、できることはたくさんあるはずだ」その不満は、単なるパフォーマンスではなくドライビング体験そのものにも及んでいる。「今のF1は、運転していてそこまで楽しくない」「休みの間に他のカテゴリーのクルマにも乗った。フォーミュラ3のマシンもテストしたけど、あれは1000倍楽しかった」「なぜなら、自分の右足次第だからだ。どれだけパワーを使うかは自分で決められるし、それがそのまま返ってくる」“かつてのF1”との決定的な違いストロールは過去のF1と比較し、現在のカテゴリーが持つ個性の希薄化にも言及した。「V8やV10時代のオンボード映像も見たけど、当時はもっと激しくて、もっとエキサイティングだった」「今と比べると、あの頃の方がずっと濃密だった。残念だけど、またああいう方向に戻ってほしい」さらに、この問題については多くのドライバーが同様の考えを持っているとしつつも、自由に発言できない状況があると示唆した。「同じことを言えるドライバーもいれば、契約の関係で言えないドライバーもいる」「それがF1だ。とても政治的な世界になり得る」ボッタスは慎重姿勢「正しい方向への一歩」一方で、キャデラックF1のバルテリ・ボッタスはより抑制的な評価を示した。「まだ小さな一歩だけど、正しい方向への一歩だ」「もっと大きな変更もできるだろうが、同時に結果を出しているチームを不当に不利にしてはいけない」現行レギュレーションの課題を認めつつも、バランスを重視する立場を取っている。ドメニカリは危機論を否定「F1は非常に健全」こうしたドライバーの不満とは対照的に、F1 CEOのステファノ・ドメニカリは強く現状を肯定した。「F1にはまったく問題はない。非常に良い状態にある。それだけははっきりさせておきたい」ドライバーの“現場感覚”と、運営側の“全体最適”の間にある温度差は明確であり、2026年レギュレーションを巡る議論は今後も続いていく可能性が高い。