小林可夢偉が、クラシュリタイアに終わったF1シンガポールGPを振り返った。「シンガポールGPはF1カレンダーで唯一のナイトレースですが、僕はGP2のカタールでナイトレースを走っているし、去年のアブダビGPも最後は夜だったので、夜走るということはそこまで気にしていませんでした」とシンガポールのレース週末の印象を語る小林可夢偉。
3年目にして初めてレース週末に雨が降ったマリーナ・ベイ市街地コースではセッティングが定まらず、予選に向けて大幅にセッティングを変更した。「コース自体は金曜日のフリー走行前に雨が降って、ウエット路面で覚えないといけませんでしたが、フリー走行1回目の間に普通に慣れることができました」「ただ2回目のナイトセッションでは、路面がまだ濡れていたこともあって、プライムタイヤの走行ではちょっと変にタイヤを痛めた部分もあったし、さらにタイヤが悪い状態ではどこを走ってもグリップをしないという状態で、セットアップが難しかった。夜3時までミーティングをして、土曜日に向けてかなりセッティングを変えることにしました」「ただ、土曜日のフリー走行でもフロントウイングやダンパーなど比較したんですが、あまりうまくいかずに、ちょっとはまりそうだったんです。オプションのウオームアップも悪くて、1周目ではなく2周目でタイムが出てるという状況で、セッションの後、何が問題かエンジニアと解析した結果、根本的に考え方が間違っていたから、予選に向けてかなりセッティングを変えたんです」そんな状況で迎えた予選。小林可夢偉はQ2で素晴らしいパフォーマンスを発揮し、今季4度目となるQ3進出を果たす。「だから、予選が始まったとき、本当に大丈夫かちょっと不安なところもあったんですけど、第1セッションで効果を確認できて、第2セッションでまとめ切れたのが良かったです。あの第2セッションのラップはほぼ完璧だったと思います。ただ第3セッション入りまでは期待していませんでした。シーズンの始めなら、こういうコースだとQ1で落ちているくらいのクルマだと思うけど、結果的に残り5戦でここまでクルマを仕上げられたということはすごくポジティブなことだし、チームも自信を持っていいと思います」10番グリッドからスタートした小林可夢偉はスタートで1つ順位を落とすも、セーフティカー出動時にステイアウトすることを選択し、入賞圏内でレースを展開する。「決勝はスタートでホイールスピンが多くて、ひとつポジションを落としましたが、その後のペースは良かったし、セーフティーカー中にタイヤ交換をせずにコースに残った戦略も正しかったと思います。ただ、想像以上にシューマッハが遅くて、その戦略が狂ってしまいました」しかし、32周目。ターン18で曲がりきれずにバリアにクラッシュし、レースを終えることになる。「なんとかチャンスを見つけて抜きましたが、その時点ですでにタイヤ交換を終えているスーティルにかなり迫られていて、とにかくタイムを稼いで逃げないといけないという、一番レース展開的にはつらいパターンになっていて、ターン18でリヤタイヤをロックして曲がりきれずバリアに当たりました」「クラッシュは僕の責任です。20周近くシューマッハの後ろ走っていたときに、思っていたよりもタイヤが壊れていたんで、もしかしたら、もうちょっと待ってからプッシュしてみないといけなかったかもしれません。それは反省しています。ただ、残りが30周しかなかったので、毎周コンマ5秒くらい稼がないといけなかった。ただ、ポイントを獲りに行くためだったんで後悔はしていません」「残念ながらポイントは獲れませんでしたが、クルマのパフォーマンスについてはすごく手応えを感じています。もちろんアップデートの効果もありましたが、クルマを理解しつつあるということも大きい」「次の鈴鹿は、もともとこのコースよりクルマの相性がいいですから、攻められるクルマで予選を前からスタートできれば、自然といいレース展開になると思います」