小林可夢偉が、惜しくも11位でポイント獲得を逃したF1ドイツGPの週末を振り返った。今年F1ドイツGPが開催されたホッケンハイムリンクは、小林可夢偉がジュニア・カテゴリー時代にレース経験を積んできたF1カレンダーの中で一番知っているサーキットだと語る。「ホッケンハイムはTDPのドライバーとしてヨーロッパに来てから、フォーミュラ・ルノー、ユーロF3、GP2とこれまで戦ってきた全部のカテゴリーで走ってるんです」
ザウバーは、ドイツGPに改良版ディフューザーなど多くのアップデートを持ち込んだが、金曜午前中のフリー走行はウェットで行われた。「今回もクルマにいろいろアップデートのパーツが入っているので、結構な量の走行プログラムを予定していたんですけど、午前中がウエットの路面だったので、路面が乾きはじめた午後のセッションでは、真っ先にドライタイヤでコースインしたんですけど、思った以上に路面が濡れていましたね。ヘアピンのターン6で、いきなりコースオフしそうになりました(苦笑)。このターン6は今回再舗装されていたんですけど、路面が乾いてもブレーキングはカギでしたね」「その後はずっとドライだったので、クルマのデータ獲りをしながらタイヤの比較もしました。僕はあまり燃料を積んだ状態で走ることはなかったんですけど、それなりにいいデータが獲れていました。うまくセットアップをあわせてタイムを稼ぐことができれば、いいところには行けるかなと感じてはいました」予選では12番手でQ3進出を逃した可夢偉だが、トラフィックがなければQ3に進めていたはずと語る。「予選は第1セッションと第2セッションの前半まではいい流れだったんですけどね。2回目のアタックに出るためコースインしたときにトラフィックにあって、かなりスローダウンをしなければいけなくて、タイヤの温度が冷えたままアタックに入るしかなかった。もし普通に走っていたらあとコンマ1秒は上がっていただろうから第3セッションに行けてたはず」決勝でもトラフィックにより思うようにレースを展開できなかった可夢偉は、最終的に1つポジションを上げ11位でフィニッシュした。「決勝は、1周目になんとかポジションを上げようと思ってオプションタイヤでスタートして、狙っていたとおりふたつポジションをあげることができました。ピットストップの後、シューマッハを抜こうとしたんですけど、ストレート勝負になると離されてしまって抜けませんでした。ペトロフがピットアウトしてきたとき、周回遅れのクルマがまわりにいて、うまく直線を立ち上がることができなかった。目の前に周回遅れにひっかかっているシューマッハもいたし、ちょっと行き場がなくなった感じでした」「ポイントを逃したのは残念ですけど、メルセデスとウイリアムズの間に割って入っているし、クルマの成長は見えている。ただクルマの特性上、こういう直線のあるコースでは抜きにくいということはあるので、レースとしては強い部分は出せなかったですけれど、シーズンの最初の頃に比べたら状況は遙かにいい」「こんなに少ない予算で、予選ではQ3が狙えたり、決勝では入賞争いができるまでパフォーマンスを持ってきている。ここに来るまでクルマがサーキットにあっていないと思っていたので、そういう意味ではこのパフォーマンスが出せたのは今後の自信になりました」