小林可夢偉が、0周リタイアに終わったF1オーストラリアGPを振り返った。「決勝レースのスタート前に雨が降ってきて、『これは面白いことになるやろ』と思ってたんです」と小林可夢偉は語る。「レースの途中で雨が止むのは分かっていたし、とにかくポイントを獲れるチャンスだと。だからスタートは、それはもうかなり慎重にいったんです。とにかく無理せずリスクを背負わんとこうと」
しかし、オープニングラップで小林可夢偉のマシンからフロントウイングが脱落。コントロールを失った可夢偉は、ニコ・ヒュルケンベルグと激しく接触したあと、タイヤバリアに激突した。「路面が結構濡れていて、ストレートを加速しているときもリヤが滑ってました。1コーナーの混乱はアウト側からよけました。その後は結構他のクルマも周りにいたんですけど、何かに当たったというショックは感じなかったです」「5コーナーを出て6コーナーに向かう直線になったとき、突然クルマの前が浮いて壁に向かっていったんで、ブレーキは踏んだんですけど、フロントウイングがクルマの下に入り込んでしまったので、ブレーキが効かないまま、そのまま壁にあたって、あっという間にクルマが止まっていたという状況です」「本当に運が悪かったとしかいいようがないです。僕はレースを経験することが大切なので、次は必ずフィニッシュします!!」また、小林可夢偉はオーストラリアGP前にケルンの元トヨタF1の施設を訪れ、シミュレーターでの作業を行っていた。「ここに来る前にドイツのTMG(トヨタモータースポーツ有限会社)に行ってシミュレーターを半日ほど乗ってきました。ダウンフォースをつけたクルマでいかにトップスピードを稼ぐかいろいろ試したんですね。とくに高速シケインのターン11と12でスピードを落とさないようにしようと思っていたんですけど、フリー走行1回目でそこにあるパイロンに当てたのは僕のミスです。ちょっと頑張りすぎました」「いまのレースフォーマットだと、予選がすごく大事なんです。今回はあとコンマ2秒上げたらQ3進出が見えていたので、最後のアタックはかなり攻めました。ソフトタイヤは2周目でもタイムは上がるんですけど、他のチームもタイムを伸ばしてくることも計算して、僕たちもガソリンを積む量をギリギリまで軽くして、一周目でタイムを出せるようにギリギリの状態でした。結果的に前回と同じ16番グリッドでしたが、それまでの組み立て自体は悪くはなかったんで、あとはどれだけ上手くまとめられるかだと思います」小林可夢偉は、C29の課題はストレートスピードだと語る。「バーレーンに比べるとクルマはだいぶよくなりました。スイスにあるファクトリーで丸々1日を使った大きなミーティングがあって、そこには僕も含めた全員が参加して、これからどうやって開発をしていくのかなど話してきました」「去年のデータと比較してもコーナーが遅いわけじゃない。だからあとはストレートスピードをどこまで稼げるかですね。とにかく、これからどれだけドラッグが少ないクルマを開発できるかが、カギになると思います。僕もドライビングだけでなく、いいクルマを作りにも貢献できるように頑張ります」
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