小林可夢偉が、6位入賞を果たしたF1アブダビGPの週末を振り返った。ヤス・マリーナ・サーキットは、小林可夢偉が2009年にトヨタで初めてポイントを獲得した場所。「ヤスマリーナは僕が3年前にF1で初めて入賞した場所だしよく知っているんですが、リヤがしっかりしていないとうまく走れないサーキットです」と小林可夢偉は語る。
だが、小林可夢偉は金曜日からマシンバランスに苦しむことになる。「ただ、今年は金曜日からクルマのバランスが決まらなくて厳しかったです。すぐにブレーキがロックしてしまうし、オーバーステアが出ると思ったらアンダーステアが出たり、いいところがまったくなかったです。土曜日に向けてもずいぶんとクルマのセッティングを変えたんですが、自分が狙っている方向性はあるんだけど、そこにクルマが反応してくれなくて、土曜日のフリー走行の後、予選に向けてさらにクルマのセッティングを変えました」予選ではQ2まで進んだ小林可夢偉だが、新品タイヤでのアタック時にフロントタイヤがロックする症状によりミスをしてしまう。「予選はQ1の2回目のアタックで新品のソフトタイヤを履いたときにちょっとタイヤの内圧が間違っていて、Q2までに調整して、1回目のアタックにそのタイヤで走ったらタイムも上がりました。クルマの状態はフリー走行より少しは走れるようになっていたんですが、ただ新品を履いたアタックで簡単にフロントがロックしてしまって、うまくまとめることができませんでした。もしこの時予選の時のクルマのバランスで、週末を走りはじめることができていたらもっといいクルマに仕上げられたと思うのですが、次に活かしたいと思います」迎えた決勝。15番グリッドからのスタートとなった小林可夢偉は、オープニングラップで一気にポイント圏内まで順位をあげる。「決勝レースはスタートが大きかったです。スタート自体もよくて、前で挟まれているクルマがいたので、これはなにか起きそうと思ってイン側のラインは狙っていました。そこでうまくポジションを上げることができた」「でもその後から、ダウンシフトがおかしくて、なんか半クラッチみたいな感じだなと思っていたら、突然つながってクルマの挙動が乱れたり。そのせいでKERSもちゃんと充電できないし、結局最後までフルブーストは使えない状態でした。特にレース序盤はこの状態のクルマをどうやって運転しようといろいろ試していたんですが、後ろからミハエルがかなり詰めてきていたし、あの時が一番厳しかったですね」「ダウンシフトでエンジンブレーキを使うと温度が上がってしまうので、ブレーキだけで車速を落として、そのあと一気にシフトダウンするとかしていました。途中、エンジニアから『ターン8でブレーキング頑張れ』とか言われたんですけど、頑張ったら温度上がるしクラッチを労りながら僕としてできるだけ頑張ってました」「6位は今週末の状態を考えると最大限の結果だったと思います。クルマが決まってなかったし、トラブルもあったし、もしセーフティーカーが入らなくてずっとレーシングスピードで走らないといけなかったらオーバーヒートしてリタイアする可能性もあったから、レースの展開もすごくラッキーでした。これであとメルセデスまで12点。頑張って巻き返せれば、自分自身の今後に向けてもいい味方になると思うので、残りの2レースも頑張ります。みなさま応援よろしくお願いいたします」