インディカー:ストリートレースに変わったデトロイトGPの初代ウイナーはアレックス・パロウ。Hondaはシーズン4勝目。モーターシティとも呼ばれるミシガン州デトロイトでのレースは、1992年から街のすぐ北の島に特設コースを作って行われてきたが、1980~1990年代にダウンタウンでグランプリを行っていた地元の人々も、アメリカの多くのレースファンも、デトロイトでのレースはストリートで行われるべきだとの考えを抱き続けており、2023年、ダウンタウンでのレース復活がついに実現した。
新コースの全長は1.645マイル。長いストレートの終わりにタイトなヘアピンがレイアウトされており、そこで多くの順位変動の起こるエキサイティングなバトルが繰り広げられたが、勝者となったのはポールポジションからスタートしたアレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)だった。デトロイトリバーのほとりで清々しい風が吹き寄せるコース、空は快晴、気温は25度と、とても過ごしやすい1日ということも手伝い、コースサイドのスタンドは大勢のファンによって埋められていた。レースは二種類あるタイヤを使った戦略がチームによって分かれたことにより、非常に興味深い戦いになった。ソフトタイヤでスタートしたパロウは、ハードタイヤを装着して1回目のピットストップを遅らせたライバルに一時はトップの座を明け渡したが、1回目のピットストップの後にはより安定感の高いハードタイヤでアタックし、逆にライバル側はソフトタイヤでの走行で周回を重ねるとタイヤが消耗。そこで逆転劇が起こり、トップに立ってからは堂々たる走りでゴールまで駆け抜けた。パロウにとっての今シーズン2勝目はキャリア6勝目で、ストリートレースにおける初優勝となった。パロウのチャンピオンシップポイントでのリードは、デトロイトでの勝利によって51点にまで拡大された。レース1勝分のリードをチームメートのマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)につけることとなった。Hondaにとってはデトロイトでの優勝が今シーズン4勝目で、ライバルのシボレーに対してのポイントリードを22点に広げた。Hondaドライバーたちはパロウの他にも、スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が4位、マーカス・アームストロング(Chip Ganassi Racing)が8位、エリクソンが9位でフィニッシュ。今年の第3戦Acuraグランプリ・オブ・ロングビーチでキャリア初勝利を挙げたばかりのカイル・カークウッド(Andretti Autosport)は、デトロイトではスタート直後に後方からヒットされてリヤウイングを破損したが、ピットに入って修理を施したマシンでリードラップでのレース復帰を果たすと、次から次へとライバルたちをパスし、26番手から6位にまで大きく順位を上げてのゴールを果たした。次戦は1週末のインターバルを挟んで開催される。戦いの舞台はウィスコンシン州エルクハートレイクにある美しいハイスピードロードコースのロードアメリカ。決勝レース開催は6月18日。アレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)「今日のカーナンバー10は完ぺきなマシンになっていました。Hondaは私たちの必要とする燃費性能の高さと、大きなパワーを提供してくれました。自分たちは今日、誇りに感ずることのできるレースを戦うことができました。レース終盤にはリスタートが何度かありましたが、ペースカーランの間にリスタートに向けてタイヤの温度を十分に高めることができず、苦しい戦いを余儀なくされていました。レース中のギアボックスのトラブルは、おそらく私の操作ミスが原因でした。それらを乗り越えてシーズン2勝目を挙げることができました。まだチャンピオンシップのことを考えるのは早過ぎます。次からのレースに集中して行きます。これからの数戦の中には私がとても楽しみにしているレースがいくつかありますから、攻めの姿勢で行きます」スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)「今日は優勝するか、2位でゴールできるレースだったと思うので、この結果には少々悔しい思いを感じています。私たちのマシンはとても速かった。Hondaエンジンの燃費はとてもよいので、必要な燃費を実現することは実に簡単でした。Hondaエンジンのドライバビリティも最高でした。私のすぐ前でゴールした2台より、私たちの方が速かったんです。最後のピットストップの後は、もっとプッシュトゥパスを使い、ウィル・パワー(シボレー)をパスするべきでした」