ハースF1チームのニコ・ヒュルケンベルグは、2023年F1第9戦カナダGPの予選で最小タイムを上回って走行したとして3グリッド降格ペナルティを科された。ヒュルケンベルグは、雨で混乱したF1カナダGPの予選Q3の1回目のアタックで好タイムを記録し、サプライズな2番グリッドを手にしたかのように見えた。しかし、Q3でのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)のクラッシュ後の赤旗提示中に最小ラップタイムを上回ったとして、3グリッド降格ペナルティを科され、フロントローを失うことになった。
F1競技規則37.6 a)には以下のように記されている。「中断の合図が出された場合は、すべての車両は直ちに減速してピットレーンにゆっくり戻らなればならない。『RED FLAG(赤旗)』メッセージが公式メッセージ送信システムに表示されてからピットレーンに入る際に各車両が第1セーフティカーラインを横断するまでの間、ドライバーがスピードを十分に低下させるためには、ドライバーは マーシャリングセクターごとに最低1回(マーシャリングセクターは、FIAライトパネルのそれぞれの間の走路区間と定義される)、FIA ECUが設定する最小時間を上回って走行しなければならない」ヒュルケンベルグは赤旗が出る前に2番手グリッドを獲得するラップタイムを記録していたが、雨脚が強くなったため、セッション再開後は誰もタイムアップすることができなかった。ヒュルケンベルグはオープニングの2つのコーナーを通過したところで、セッションが中断され、その結果、デルタタイムを1.5秒オーバーし、修正することができなかった。このペナルティによりヒュルケンベルグは5番グリッドに後退し、フェルナンド・アロンソがマックス・フェルスタッペンとともにフロントローに並ぶことになった。ルイス・ハミルトンは3番手、ジョージ・ラッセルは4番手からのスタートとなり、ヒュルケンベルグは両メルセデスドライバーの後ろに位置する。スチュワードから提供された公式文書の中で、FIA「ドライバーは最速ラップを終えたばかりで、さらにプッシュラップを開始していた。赤旗が提示されたとき、彼はT1にいたが、その時点ですでにデルタタイムを1.5秒上回っていた」と指摘。「このため、次のセクターでデルタタイムを下回ることは非常に困難であったと主張した。また、ヘッドセットのビープ音に戸惑ったため、ある段階で自分が遅すぎると思ったこともあったようだ」「テレメトリーを31号車と比較したところ、残りの周回では31号車とほぼ同じ速度であり、各ミニセクターのデルタタイムを遵守していた。我々はこれを緩和的な状況だとみなしている」「しかし、レギュレーションは非常に明確であり、ドライバーは危険な行為や安全でない運転をしたとは言えないが、違反があったため、ペナルティを科される必要がある。赤旗の下で減速しなかった場合の通常のペナルティは10グリッドポジションだが、緩和された状況を考慮すると、より低いペナルティが適切である」「このレギュレーションの意図は、赤旗の状況下で車両がスピード違反をしていないことを確認することであり、今回のケースでスピードが過剰であったという証拠はないことに留意する。また、ドライバーがデルタ信号の運用面をより熟知する必要があることも留意している」ヒュルケンベルグとレースエンジニアのゲイリー・ギャノンの無線交信では、デルタタイムをめぐる両者の混乱が明らかになった。ギャノン:赤旗、赤旗。デルタタイムにプラスが必要だ、デルタタイムにプラスが必要だ。ギャノン:よし、このタイムがカウントされた。非常に良いラップで現在2番手。ギャノン:「低速」モードにして、そのまま走ってくれ。ピアトリはT7の出口でクラッシュした、ピアトリは左側、7の出口なのでピアトリに注意してくれ。ヒュルケンベルグ:ビープ音がおかしい。ネガティブにすべき?それともポジティブにすべき?ギャノン:今はポジティブにするべきだ。プラスで、スピードを落とす必要がある。速度を落としてくれ。ここはダブルイエローだ。ピアストリがクラッシュした場所なので、ピアストリに注意してくれ。ヒュルケンベルグ: 遅すぎると思う、もっと速く走らないといけないと思う。ギャノン:わかった、今マイクに確認したところだ。ヒュルケンベルグ:教えてくれ。ギャノン:このモードを解除して、「in」を押してくれ。ヒュルケンベルグ: 速すぎるのか、遅すぎるのか?ギャノン:速すぎる。赤旗なので速度を落としてくれ。ギャノン:オッケー、ニコ、今すぐボックスだ。このペナルティの前例としては、2018年のオーストラリアGP予選でダニエル・リカルドがサーキット上のデブリによる赤旗中に十分な減速を怠り、同程度のペナルティを受けたことがあった。
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