ホンダは、新型の燃料電池自動車(FCV)のコンセプトカー「Honda FCV CONCEPT」と、FCVから最大出力9kWのAC出力を可能にする外部給電器のコンセプトモデル「Honda Power Exporter CONCEPT」を世界初披露した。ホンダは、このコンセプトカーをベースにした新型FCVを2015年度中に日本での発売を目指す。その後、米国や欧州へ展開していく予定。
ホンダは、このFCVと外部給電器に加え、Hondaの独自技術である高圧水電解システムを採用したパッケージ型「スマート水素ステーション」の普及促進を図り、来たる水素社会に向けて「つくる」「つかう」「つながる」という3つのコンセプトで、CO2ゼロ社会の早期実現を目指していく。ホンダは、多様なエネルギー源から製造可能で、輸送や貯蔵もできる水素を、次世代の有望なエネルギーキャリアととらえている。その水素と空気中の酸素を化学反応させ、発生した電気によりモーターを動かして走るFCVを究極の環境車と位置づけ、1980年代後半から積極的に研究開発を行ってきた。2002年にホンダが開発した「FCX」は、米国環境保護庁およびカリフォルニア州大気資源局認定をFCVとして世界で初めて取得し、日本と米国でリース販売を開始した。2003年には、世界で初めて氷点下での始動を可能にした燃料電池スタック「Honda FC STACK」を開発し、2005年には世界で初めてFCVを米国の個人ユーザーに対してリース販売した。2008年には他社に先駆けて、革新的なセダンタイプのパッケージや異次元のドライブフィールを備えた「FCXクラリティ」のリース販売を開始している。このように、ホンダはこれまで日本と米国でFCVのリース販売を行い、リアルワールドでの一般ユーザーの使い勝手や走行データを蓄積しており、FCV開発のリーディングカンパニーであると自負している。Honda FCV CONCEPTは、FCXクラリティの後継モデルとして、さらなる性能向上とコストダウンを目指した次世代FCVのコンセプトカー。このコンセプトカーに搭載している新開発の燃料電池スタックは、従来型より33%の小型化を図りながら、出力は100kW以上、出力密度は3.1kW/Lと従来比で約60%の向上を実現。その小型化した燃料電池スタックを含めたパワートレインを、市販車として世界で初めてセダンタイプのボンネット内に集約して搭載している。これにより、大人5人が快適に座れる、ゆとりあるフルキャビンパッケージを実現するとともに、将来のFCVの普及拡大期において、複数の車種に展開することを可能としている。Honda FCV CONCEPTは70MPaの高圧水素貯蔵タンクを搭載し、700km以上※4の航続距離を実現。水素タンクの再充填は約3分程度※5という短時間で完了し、現在のガソリン車と同等の使い勝手を可能にする。また、FCXクラリティで実証試験を積み重ねた、外部給電機能を装備。FCVと外部給電器を組み合わせることで「走る電源」として、災害時などにクルマが作る電力をコミュニティに提供することができる。ホンダは「これからも、来たる水素エネルギー社会の一翼を担うべく、スマート水素ステーションやFCV、外部給電器などの水素関連技術にチャレンジし続けていきます」と述べた。
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