ホンダは2026年F1レギュレーションに向け、パワーユニット開発において燃料の重要性をこれまで以上に重視している。100%持続可能燃料が義務化される新時代では、燃焼の安定性や発熱量といった特性が、高回転域での出力性能を大きく左右する要素となる。その中で注目されているのが、アストンマーティンと提携するアラムコの燃料開発だ。
高い発熱量を持つとされるアラムコの燃料が、ホンダPUの回転性能を支え、2026年F1で各陣営の性能差を生み出す鍵となるのか。その技術的背景と可能性を掘り下げる。2026年F1で再び注目される「燃料」という要素2026年F1は、シャシーとパワーユニットの両面で白紙に近い状態から再設計される大改革の年となる。各チームは新コンセプトを携え、開幕戦オーストラリアGPに向けて競争力の構築を進めている。その中で、これまで表立って語られることの少なかった「ガソリン」が、再び性能差を生む要素として浮上している。新レギュレーションでは、燃料は100%持続可能であることが義務付けられ、単に燃えるだけの存在ではなく、エンジン性能を左右する高度な技術領域となった。燃焼の安定性、コールドスタート時の挙動、エネルギー変換効率、そして安全性。これらすべてを高次元で成立させなければならず、燃料開発はパワーユニット開発と切り離せない関係にある。高発熱量燃料が持つ意味アラムコが開発を進めているとされる燃料で特に注目されているのが、高い発熱量という特性だ。これは単純に「燃えやすい」という話ではない。限られた燃料流量と厳しいエネルギー管理の中で、いかに効率よくエネルギーを取り出せるかが問われる。発熱量が高ければ、同じ条件下でもより多くのエネルギーを取り出す余地が生まれる。特に高回転域では、燃焼の安定性とエネルギー密度が出力特性に直結するため、この差は無視できない。2026年F1では電動比率の増加に注目が集まりがちだが、内燃機関側が担う役割は依然として大きい。その中で、燃料の性質が高回転域の性能を左右する構図が浮かび上がっている。ホンダPUとの相性が問われる理由ホンダはこれまでも燃焼技術をパワーユニット開発の中核に据えてきたメーカーだ。高回転域での安定した出力特性は、ホンダのエンジン哲学の一つでもある。そこに、高発熱量という特性を持つ燃料が組み合わされば、パワーユニット全体の特性を引き上げる可能性がある。単体のエンジン性能だけでなく、回転域全体での使いやすさやピークパワーの出し方にも影響を及ぼす。ただし、これは燃料だけで成立する話ではない。燃焼室設計、点火タイミング、エネルギーマネジメントとの最適化が前提となり、燃料とパワーユニットは一体として開発される必要がある。テストでは見えにくい本当の差バルセロナやバーレーンで行われるプレシーズンテストでは、こうした燃料由来の性能差がそのまま表に出るとは限らない。各チームは走行プログラムや燃料搭載量、エンジンモードを厳密に管理しており、本当のポテンシャルは隠されたままだ。それでも、シーズンが進むにつれて高回転域での伸びやエネルギー効率の差は、レースペースや最高速、さらには戦略の幅として現れてくる。燃料は「見えない性能差」として、確実に影響を及ぼす要素となる。2026年F1で問われる総合力2026年F1は、単に優れたシャシーや強力な電動システムだけでは勝てない時代になる。燃料、エンジン、エネルギーマネジメントを含めた総合的な完成度が、最終的な競争力を決定づける。ホンダPUを支えるアラムコ燃料が、高回転域でどこまで性能差を生み出せるのか。その答えは、開幕戦だけでなく、シーズンを通じて徐々に明らかになっていくはずだ。燃料という見えにくい領域こそが、2026年F1の勢力図を左右する重要な鍵となる。