ホンダのレース開発子会社であるホンダ・レーシング(HRC)では、CIVIC TYPE R用のエンジンをベースに、低コストでありながら300馬力台から600馬力クラスまでの様々な異なるレースカテゴリーへの対応を図ったHRC-K20Cエンジンを開発。11月7日に鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラ用のSF19シャシーに搭載し、テスト走行に成功した。
HRC-K20Cは、各国で好評を博しているCIVIC TYPE Rに搭載されている2.0L VTEC TURBO のK20C型エンジンをベースに、一般道では考えられないサーキットならではの長時間のフルスロットル走行に耐えうる耐久性を確保したレース専用エンジンで、300馬力台のSpec Aから600馬力クラスを狙ったSpec Dまで4つの派生を念頭に開発されている。Spec Bは、既に北米のAcura Integra Type S DE5に搭載され、米国のツーリングカーレースであるTC AmericaのTCXクラスに5台が参戦。また2024年6月のパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムにも参戦した。シリンダーブロックは、量産品をベースに鋳造方法を工夫して強化しており、量産エンジンを生産している米オハイオ州のアンナエンジン工場にて製造。強化ピストン、コンロッド、オイルジェット、高強度ボルト、オイルバッフル、および前述の強化シリンダー以外ほとんどは量産のK20Cエンジンと同じものだ。今回鈴鹿サーキットで走行したのは、600馬力を絞り出すことを可能にした最上位のSpec D。量産エンジン部品を流用しつつ、高出力化に必要な部分には補強を加え、ドライサンプ・ミッドシップマウントに対応したエンジンとなっている。異なる馬力クラスの様々なレースカテゴリーに対応可能なHRC-K20Cは、高いポテンシャルと低コストを両立させるレース専用エンジンであり、HRCでは外販の可能性を探っていく。
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