F1パワーユニットサプライヤーとしてのF1参戦を2021年限りで終了したホンダ。2022年シーズンからはRed Bull Groupからの要請のもと、パワーユニット開発部門であるRed Bull Powertrainsを、新体制となったHRC(ホンダ・レーシング)が支援する形となった。レッドブルのパワーユニットを使用するのは、Oracle Red Bull Racing、Scuderia AlphaTauriの2チーム4台。Oracle Red Bull Racingからは、2021年のホンダF1に30年ぶりのドライバーズタイトルをもたらした新チャンピオン、マックス・フェルスタッペンと、昨季ランキング4位のセルジ...
Scuderia AlphaTauriはピエール・ガスリーと、現在日本人唯一のF1レギュラードライバーである角田裕毅を起用。2チームとも2021年と同じラインアップを継続し、2022年シーズン開幕を迎えた。3月20日に行われた開幕戦F1バーレーンGPは、2チームにとって厳しいものとなった。上位を争っていたフェルスタッペン、ぺレス、ガスリーがいずれもマシントラブルで終盤にリタイア。角田は完走して8位入賞を飾ったものの、厳しい船出となった。翌週の第2戦F1サウジアラビアGPでは状況が改善し、フェルスタッペンがシャルル・ルクレール(フェラーリ)との激しいバトルを制して今季初勝利。しかし、第3戦F1オーストラリアGPではフェルスタッペンのマシンにまたしてもトラブルが発生し、リタイアとなってしまう。これで、開幕から絶好調のルクレールに大きくポイント差を開けられることとなり、フェルスタッペンは「このままではシーズンが45戦くらいないと追いつけない」と厳しい状況を語った。今季の新規定のもと作られたニューマシンに、少々不安の見えた序盤戦だったが、4月22~24日に行われた第4戦F1エミリア・ロマーニャGPから一気に改善を見せる。フェルスタッペンが予選スプリントをトップでフィニッシュし、決勝レースではポール・トゥ・ウイン。2位にはペレスが入り、今季初の1-2フィニッシュを達成した。フェルスタッペンは続くF1マイアミGP、F1スペインGPも連勝し、ルクレールを抜いてランキングトップに浮上した。いい流れで迎えた第7戦は、世界三大レースの一つとして名高いF1モナコGP。追い抜きの難しいコースで、ペレスとフェルスタッペンは2列目からのスタートとなったが、巧みなピット戦略によってペレスが先頭に立ち、悲願のモナコGP初制覇。メキシコ人ドライバーとしても初の優勝を成し遂げた。Oracle Red Bull Racingは、続く第8戦F1アゼルバイジャンGPでも勢い止まらず。ハイスピードの市街地コースとして知られるバクーで、フェルスタッペンとぺレスが今季3度目の1-2フィニッシュ。フェルスタッペンは続く第9戦カナダGPも制し、ランキングトップを独走態勢に入った。第10戦、第11戦はフェラーリ勢が勝利するが、第12戦F1フランスGPではフェルスタッペンが優勝。第13戦F1ハンガリーGPでは、予選でフェルスタッペンのパワーユニットに問題が発生し10番手スタートに。しかし、決勝に向けて対策を講じた結果、フェルスタッペンは他を圧倒するペースを取り戻し、10番手から逆転優勝。「僕にとってベストレースの一つ」という会心の週末を終えて、1カ月弱のサマーブレイクへと突入した。サマーブレイク中の8月2日には、当初2022年いっぱいまでとしていたHRCによるサポートを2025年シーズンまで延長することが発表され、パートナーシップをより強固なものとして迎えた後半戦。第14戦F1ベルギーGPでは今季4度目の1-2フィニッシュを果たし、フェルスタッペンは母国オランダでもポール・トゥ・ウイン、第16戦イタリアGPも制して5連勝。第17戦F1シンガポールGPは7位となったが、ここまで11勝と圧倒的な強さで、2番手のルクレールに100ポイント以上の差をつけてチャンピオンシップをリード。早ければ今週末、日本GPでチャンピオン決定の可能性がある。ペレスもルクレールと僅差のランキング3番手につけ、好調のOracle Red Bull Racing。対照的に、Scuderia AlphaTauriはここまで表彰台登壇がなく、ガスリーが13番手、角田が17番手と、思うようにポイントが取れてはいない。鈴鹿サーキットレーシングスクール出身の角田裕毅にとって、鈴鹿はほかのドライバーの誰よりも慣れ親しんだホームコース。初めてのホームGPで、第6戦以来のポイント獲得、今季ベストリザルトを目指す。