ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、F1アゼルバイジャンGPのレース週末を振り返った。バクーの市街地コースは、全長6kmあまりと距離が長いことに加え、第1・2セクターは市街地コース特有の狭い道幅と90度コーナーが多く配されている一方、最終セクターには2kmを越えるアクセル全開区間があり、低速コーナーとストレートのパフォーマンスをバランスよく両立させることが重要なトラックとなる。
PUとしては、低速コーナーでのドライバビリティーと長いアクセル全開区間を考慮したエネルギーマネージメントなどが重要となった。特にロングストレートに関してはデプロイメントを含めてホンダの弱点であり、メルセデスが優勢だと考えられてきた。しかし、結果はセルジオ・ペレスが優勝。タイヤトラブルがなければ、マックス・フェルスタッペンが快適な勝利を収められるように見えた。メルセデスとの戦力図について質問された田辺豊治は「データを細かく見直していきますが、結果として4台がQ3へ進み、2台が表彰台という結果になりました」とコメント。「1台は不可抗力で失われましたが、両チームの車両、パワーユニットは進化したと感じています」今後、ロングストレートが特徴のスパ、モンツァ、ロシア、フランスなどで同じような戦いができると感じているかとの質問には「正直、分かりません」と答える。「ここは、90度の低速度コーナー、中速度のコーナー、そして極端に長いストレートの組み合わせで、スパやモンツァとは違います。ここがいいからと括ることはできません。それらのサーキットに関しては、今回の結果を含めて見てみて、セッティングを考えて備えていきます」「ただ、ひとつだけ言えることは、メルセデスはただ指をくわえて見ているような甘いチームではないということです。当然、巻き返しはあると見ていますし、今日がいいからこれから先もいいとは思っていません」だが、MGU-Hのデプロイメントに関しては改善が見られた。「今後に向けて勇気付けられる結果でした」と田辺豊治は語る。「このサーキットには長いストレートがあり、回生量が足りないと厳しくなる。そのあたりを弱点克服と位置付けて改善し続けてきた効果が確認できたと考えています」次戦のフランスGPについては「今回のレースから2週間ほどあるので、その時間を使って、チームと共同で今年のこれまでの結果や今回得られたデータなどからシミュレーションをかけて、PUの使い方を再検討していきます」と語った。