ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、2020年のF1世界選手権 第12戦 F1ポルトガルGPの決勝についてレース後の記者会見で振り返った。今シーズン、いくつかのサーキットが新しくF1カレンダーに加わったが、79番目のF1開催地となるポルティマオのアルガルベ・サーキットもそのひとつとなった。
ホンダF1エンジン勢は、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが3位表彰台を獲得。これで11戦連続でホンダのF1エンジンは表彰台を獲得したことになる。また、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが5位入賞を果たした。だが、アレクサンダー・アルボンは12位、ダニール・クビアトが19位とノーポイントでレースを終えた。再舗装された路面は安定しておらず、FP2が赤旗によって走行が限られたこともあり、決勝にむけて特にロングランにおけるタイヤについては未知数な部分となった。そして、それは特にレッドブル・ホンダに悪い方向に働いた。「今週の走り始めからドライバーは『タイヤのグリップがない』と言っていました」と田辺豊治は語る。「新しい舗装ということで、走行を重ねていけばラバーが乗ってグリップが向上するかなというところもあったのですけど、そうではない感じでした。タイヤのマネジメント、特に温度的なところも含めて非常に難しい週末でした」「今日は、車体のセットアップ、ドライビングを詰め切れたチームのドライバーが強かったと思っています。昨日の予選もソフトタイヤ、ミディアムタイヤと異なるタイヤ戦略のチームがおり、今日もレースではミディアムスタートのグループとソフトスタートのグループ、ハードが絡み、いろいろなタイヤを各チームが履いていました」「今週末の結果でいうと、ミディアムタイヤがベストだったのかなと思います。それぞれ使い方の中で工夫をしてやったと思いますけど、その辺の影響は大きいです」フリー走行2回目ではピエール・ガスリーのマシンが炎上。アルファタウリ・ホンダのスタッフたちは、カーフュー(舎監外出禁止令)を破ってシャシーとパワーユニットを交換した。「予選、決勝を終えてですが、ガスリー選手が今週末は非常に好調でした。トラブルでクルマを大修理するような状況になりましたけど、それを跳ね返してくれました」と田辺豊治はコメント。「チームのメカニック、我々のメカニック、エンジニアも非常に遅くまで作業にあたってクルマを仕立て、きっちりやったことをよい結果で応えてくれたと思っています」「マックス選手は3位ということで、やはりメルセデスの2台は今回も崩すことができませんでした。2人のドライバーは、レッドブル、アルファタウリそれぞれが持っているものを最大限に性能を引き出して結果を得られたと思います」「アルボン選手は、ちょっと大きく出遅れてスターティングポジションから最終的なレース結果を落として、クビアト選手もレース序盤にちょっと大きく落としたてからは上がれなかった。両ドライバーともにタイヤのマネジメントと、タイヤのグリップ力がなかったとのことです。同じチームのそれぞれのドライバーで状況がかなり違ったのは非常に残念だと思います」「4台完走、4年入賞となりませんでしたが、うまくレースを運べた2台に関しては非常によい結果だったと思います。うまく運べなかった2人のドライバーに関しては、チームとしてもこれから今回何が悪かったのをじっくり見極めていきたいと思います」次戦F1エミリア・ロマーニャGPが開催されるイモラ・サーキットもパワーユニット時代になってからは初めてのレースとなる。今年、ムジェロやニュルブルクリンクは現在のパワーユニットでは初めてのレースとなり、事前シミュレーションのみで望んでいた。イモラに関して、これまでの経験をシミュレーションに取り入れていきたいと田辺豊治は語る。「イモラも涼しいという予報が出ていますし、また雨話も出てますので、同じ状況になったときに同じところに陥らずにうまく戦えるように、PU側も車体側も準備をして次のレースに向かいたいと思います」と田辺豊治はコメント。「今年やってきた傾向を、さらに初めてのところにシミュレーションだけで臨んだときの傾向というのを見て、修正を加えながら事前シミュレーションを進めていきます」「カレンダーが発行されているため、各サーキットに対してのシミュレーションのタイミングは、レース前、何日というのは全部決まっていますし、それに対して今回学んだことを入れていく作業があります。短い1週間ですが、そこは大丈夫です」