ホンダF1は、2020年のF1パワーユニットにアップデートは行わず、2021年の開発に集中していくことを明らかにした。新型コロナウイルス危機により、F1はパワーユニット開発を凍結することを決定。ホンダF1は開幕戦オーストリアGPに『スペック1.1』を持ち込んだが、それが事実上の最終スペックとなる。
「レースの中断期間中は、FIAとパワーユニット(PU)マニュファクチャラー各社の合意により、一切の活動を休止するシャットダウン期間が設けられました。そのため、ホンダのファクトリーでも一時期開発を停止しなければならなくなりました」とホンダF1のマネージングディレクターを務める山本雅史は語る。「当初予定していた開発スケジュールとは少しずれてしまいましたが、シャットダウン明けには、7月からのレース再開に向けて計画を立て直し、開発を進めました」「我々の開発の中心はHRD Sakuraのファクトリーですが、シャットダウンによって開発スケジュールを変更せざるを得ませんでしたし、コロナ禍を受けたレギュレーション変更に伴いシーズン中のPUのアップデートが禁止されたため、オーストリアに投入する最初のスペックを年末まで使用しなければならなくなりました」「そのため、当初はシーズン中に何度かPUのアップデートをする予定でしたが、計画を変更し、オーストリアGPまでにすべて開発しきる必要がありました」シーズン中の信頼性向上のための変更は許可されているものの、PUの開発計画は変更され、ファクトリーの閉鎖が明けてからは再び集中して開発が行われることになりました。ホンダF1は長期的な視点で開発を進めており、2020年シーズンの目標が優勝であるということは揺らぎない。「必要に応じて信頼性の改善に取り組みますが、パフォーマンス領域については変更できないので、今はほかのチームと同じく2021年のPU開発に集中していく。これからはそういう姿勢で臨みます」と山本雅史は語る。「開幕戦を経て、もちろんいくつかの課題も見えてきました。特に予選でのパフォーマンスはレギュレーションの範囲内でなんとか改善しなければなりません。でも、レースではいいパフォーマンスを見ることができて、今シーズンもメルセデスに対抗できると思っていますし、それを継続していくことが目標です」