レッドブル・ホンダのF1プロジェクトは、今シーズン3勝と3回の予選トップタイムを記録する結果を出したが、そこには燃料を供給しているエクソンモービルとホンダF1との新たな関係も大きく貢献した。レッドブルは2017年からエクソンモービルとのパートナーシップを開始。しかし、昨年までエンジン供給元だったルノーは、BP/カストロールの燃料を使用しているため、燃料開発はライバルに後れをとっていた。
しかし、今年からホンダF1がレッドブルの燃料パートナーとなったことで、メルセデスとペトロナス、フェラーリとシェルと同じようなスピードと方向性で燃料とオイルの開発を進めることが可能となった。レッドブル・ホンダは、F1日本GPでエクソンモービルが開発したホンダのスペック4エンジンに最適化された新燃料を導入。鈴鹿サーキットで開催されるF1日本GPは、ホンダにとって重要なレースであり、レッドブルと組んでから初の母国レースでもあった。ホンダF1はスパでスペック4エンジンを投入。いくつかの戦略的なペナルティを含めて鈴鹿で最大限の走りができるようにプロセスを進めてきた。エクソンモービルの新燃料もそのプロセスの一部だった。レッドブルのエンジニアを務めるポール・モナハンは「もちろん、新しいコラボレーションでの最初の勝利は大きな後押しとなった。エクソンモービルを見ても、ホンダのファクトリー、レッドブル自体を見てもね。全員にとってそのような結果を出せたことは素晴らしいことだ」とコメント。「それに加えてエクソンモービルの人々も非常に満足している。我々もそうだ。エクソンモービルとホンダとの良好な関係からは利益しか得られない。我々は、ライバルをさらに苦しめ、さらに倒していくために引き続き対策を講じていかなければならない。もちろん、グランプリごとに異なるが、一部のコースではすでに支配することができている」ホンダのPU開発責任者を務める浅木泰昭は「オールホンダとしての取り組みを行なっており、今回はその一環として本田技術研究所の先端技術研究所が協力してエクソンモービルが開発した新しい燃料を投入した。私がSakuraに着任したあたりから、Sakuraだけでなく、オール研究所体制としての治験を全部集めて必要な人材も呼んで戦おうとしている」とコメント。「以前も話したが、ホンダジェットの部門がパワーユニットの開発に協力してたのと同じような形で、先端技術研究所のジェット機用燃料などを含めて未来の燃料を研究している部署、協力してもらい開発した。F1に使える燃料としては既存のガソリンに成分として含まれているものを使って開発する必要があり、ホンダ側である程度あたりをつけて『こんなものがいい』という話をエクソンと話しながら、パワーユニットのマッチングを行なっていった」エクソンモービルのグローバルモータースポーツテクノロジーマネージャーを務めるデビット・ツルサキは「燃料に入れる15種類の化学構造、異なる化学構造があるとしよう。それがあり、同じ異なる化学物質を変更するだけで、次のエンジンに最適化できるかもしれない。もしくは変更する必要があるものである可能性もある」とコメント。「今回の場合、燃料を改善するためにいくつか異なる化学物質を検討した。それは以前の燃料よりも少し多くのエネルギーを与えた。それが実際の目標だった。ホンダがスペック4エンジンの開発を始めたとき、いくつかのアイデアが浮かんだ。単気筒のスペック4に対する設計作業を開始し、いい感じに進んだ。『OK、エンジンを手に入れるにはどのくらいかかる?』『燃料をもっと早く入手することはできないか?』といった感じだった」「実際、ホンダチームは、彼らが持っている情報に励まされていたし、それを追求したいと考えていたので『やってみよう』ということにあった。実際にこれをやってのけることができるかどうかを確認するのは総力戦だった。そのために準備したエキサイティングな3か月だった」「F1では常に新しい革新的なエンジンが絶えず設計されているので、『このエンジンに最適な燃料は何か?』と調べる機会がない。スペック1とスペック2は同じか?そうではない。昨年もしくは6か月前に作った燃料ではエンジンに対して同じ反応は見られないので、実際にそのエンジン用に設計している。スペック4がターゲットになった。ホンダが多くの時間と労力を費やしたエンジンだったので、そのエンジンのためにできる限りベストな燃料を作ることが我々の目標となった」レッドブルのF1チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは「我々は今年、多くのサーキットで本当に良いマシンを手に入れた。ホンダとの進歩は、燃料パートナーであるエクソンモービルからの開発と相まって、真のコラボレーションだったし、ポジティブな結果をもたらした」と語った。