ホンダのF1エンジンがようやく勝利を目指せる状況となったF1世界選手権だが、2021年の新レギュレーション導入を控え、最悪の事態に直面する可能性がある。F1は、2021年にマシンが大きく様変わりする技術規則、および競技規則の変更、そして、F1史上初めてとなる年間1億7,500万ドル(約189億円)の予算上限の導入と節目を迎えようとしている。しかし、2020年末で期限を迎えるコンコルド協定にはまだどのF1チーム、エンジンメーカーもサインしていない。
そんな中、ホンダ、メルセデス、ルノー、ハース、また、ザウバーのタイトルスポンサーであるアルファロメオがF1から撤退する可能性があるとの報道がなされている。メルセデスは、F1チーム代表のトト・ヴォルフはブラジルGPを欠席。将来のF1活動について話し合いが行われたとされ、2020年限りでコンストラクターズとしては撤退し、2021年はエンジンサプライヤーとしてのみに活動を死亡るとされている。ルノーに至っては2020年のF1撤退が噂されており、ホンダに関してはレッドブルの首脳陣がブラジルGP後に東京に飛び、今後のF1活動について話し合ったとされている。F1を支持してきたトップの相次ぐ交代メルセデスは親会社であるダイムラーで13年間CEOを務めたディーター・ツェッチェが退任し、オラ・ケレニウスが就任。2020年末までに8億5000万ポンド(1188億円)超のコストを削減すると発表している。ルノーは、汚職スキャンダルのカルロス・ゴーンに代わってクロチルド・デルボスが暫定CEOに就任。ゴーン色の排除に動いており、“Drive the Future”戦略を徹底的に見直していくことを明らかにしている。ホンダも八郷隆弘社長が60歳となり、これまで通りであれば定年退職の時期となる。また、フェラーリ/フィアットもカリスマ経営者だったセルジオ・マルキオンネが急逝し、新体制となっている。電気自動車への流れとフォーミュラE自動車業界は電気自動車への流れが加速化しており、ヨーロッパではインフラを含めた整備が進められており、多くのメーカーがラインナップのEV化を進めている。また、先日、フォルクスワーゲンが内燃エンジンでのモータースポーツ活動をやめ、今後すべてのモータースポーツプログラムを電気ベースにすることを発表。ポルシェのレーシングボスであるフリッツ・エンジンガーは「モータリングのシナリオは変化している。e-ビークルの割合は増え続けており、レースはそれを反映している。フォーミュラEはすでに確立されている。誰が5シーズンでそこまで人気が出ると思っただろうか?電動カートとオートバイのスポーツがある。ディスカッションには、電動ツーリングカー、E-TCR、電動ラリークロス選手権が含まれている。至る所に刺激的な見通しがある」と語っている。その流れに呼応するようにフォーミュラEに参戦する自動車メーカーが増加。ポルシェに加え、今年からメルセデスもワークス参戦を開始し、日産(ルノー)、アウディ、BMW、ジャガー、DSと大手メーカーが参戦している。ホンダもヨーロッパで電気自動車 Honda eを発表しており、マネージングディレクターを務める山本雅史は、フォーミュラEがホンダにとって“有益”だと感じていると語っている。「フォーミュラEはストリートレースとして都市内で行われており、純粋(伝統的)なレースではなく、レースを使用した広告のようなものです。ホンダとして、我々はアレハンドロ・アガグと会話をしています。私たちは常にこの分野に注目しています。我々はすでに電気自動車を発表しており、近い将来ヨーロッパで発売される予定です。我々の電気自動車に興味を持っているホンダの顧客はたくさんいるので、彼らにアピールするのは良いことだと思います。それにレースからロードカーまで活用できるテクノロジーがなければなりません。それが我々が興味を持っている理由です」走る実験室から費用対効果を求めるマーケティングプラットフォームへF1はかつて“走る実験室”とも言われ、市販車での空力やカーボンファイバーの実用化などに大きく貢献してきた。しかし、その役割はWEC(世界耐久選手権)を経て、現在では電気自動車のフォーミュラEへの移行している。F1のチーフテクニカルオフィサーを務めるパット・シモンズは、電気自動車の世界でフォーミュラEに加わるよりも、むしろバイオ燃料の分野で権威になることに取り組んでいると語る。「現時点では完全に明確ではないが、FIAと協力し、エンジンメーカーと燃料会社の協力を得て、今後の方向性を検討している。我々は化石燃料を地面から掘り続けることはできない。どうにかしてそれらを合成する必要がある。それがF1にとって探求し、うまくいけばリードできる部分だ」マーケティングプラットフォームに関してはF1参戦を除外しているポルシェも「F1はプラットフォームとしては他の追随を許さず、最高の評価と最高のメディア報道を持ち、世界の多くの地域でヨーロッパで最も人気のあるモータースポーツだ」とその価値を認めているメルセデスのF1チーム代表を務めるトト・ヴォルフは「我々は新しいコンコルド協定について話し合っている最中だ。これに関連して、またはそれとは独立して、自動車の開発とスポーツの影響について話し合っている。自動車の世界はどの方向に向かっているのだろうか? F1はエンターテインメントおよびテクノロジープラットフォームとしてどのような形で関連していくだろうか? 最初の車がレーシングカーであるブランドとして、長期的にこのプラットフォームに留まりたいだろうか?」と語っている。ホンダF1は、2020年のF1パワーユニットの開発に1億4,000万ユーロ(約166億3000万)を投資すると報じられている。山本雅史は「我々は将来のレギュレーションにかかる費用を計算し始めました。現在、電動化にむけた環境の変化によってすべての自動車メーカーにとって非常に厳しい状況になっています。したがって、開発コストをまとめて、社内で議論しています。コストが最大の問題であることは事実です。勝つことが最優先事項です。一度参加することに決めたからには、我々はとにかく勝利を目指しています。良い結果が得られたのはポジティブなことです。しかし、より重要なのはコストとのバランスです。トップランナーに追いつくために開発を加速するためには多くの予算を投入する必要があります。そして現在、現状を維持し、同時にコストを削減する方法を計画しています」と語っている。ダイムラーのオラ・カレニウスは「F1に関しては、6回のチャンピオンシップを連続して獲得したことは歴史的な成果であり、マーケティングとブ...