ホンダF1は、2019年シーズンのF1パワーユニットの課題として“予選モード”の改善を課題に挙げている。F1オーストリアGPではレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが優勝。ホンダとして2015年のF1復帰以降初、通算では2006年8月のハンガリーグランプリ以来13年ぶりの優勝となった。
しかし、まだ予選ではメルセデスやフェラーリに匹敵できておらず、数々のF1最年少記録を塗り替えてきたマックス・フェルスタッペンはまだF1でポールポジションを獲得できておらず、セバスチャン・ベッテルがトロロッソ時代の2008年のF1イタリアGPで21歳の72日で記録した最年少ポールポジション記録を更新することができなかった。ホンダF1のテクニカルディレクターを務める「他と比較して予選ではギャップは大きいと思っています。レースでもまだ遅れを取っていますが、予選ほどではありません。なので、我々が追いつく必要がある次のステップは予選モードということになります。しかし、それは容易なことではありません」と“予選モード”を課題に挙げている。予選モードは、ルイス・ハミルトンは、シーズン開幕前にメルセデスのF1エンジンの予選仕様のハイパフォーマンスなエンジンセティングを“パーティーモード”と呼んだことで、メルボルンでは大きな話題となった。昨年までホンダはこの“予選モード”を備えていなかったが、今年のパワーユニット「RA619H」には採用されており、これで全エンジンメーカーのパワーユニットに予選モードが供えられたことになる。メルセデスはレース週末にエンジンで“3つの基本的なモード”を使用していると説明している。「一つは主にフリープラクティスセッション用、一つは主に予選用、そして、一つは主にレース用のものだ。その3つ全ては様々状況のためにいろいろなサブセッティングを変更できる。それは1周にわたって電気エネルギーを展開するか、回収するか、もしくはバランスの取れた方法で使用するかどうかを制御する」「オーストラリアGPでは、ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスの二人は、トラフィックに引っかかった際や先行マシンの乱気流のなかにいる際に、エンジンを冷却し、オーバーヒートを避けるためにレースモードを低いパフォーマンスに切り替えていた。セーフティカーも類似したチャレンジだ。ドライバーはエネルギーとパワーユニットを節約したいので、負荷を軽減し、ハードウェアを冷却するエンジンモードにセットされている」「予選モードは各レース週末で数周だけ必要とされ、使用方法は競争状況に応じて異なる。予選を通して予選モードが使われるときもあれば、最終Q3セッションでのみ使用されることもある」2018年のF1レギュレーションでは、パワーユニットメーカーはカスタマーチームと同じ方法でエンジンを操作できるようにする必要があるが、メルセデスはそれをどのように管理しているかを説明した。「利用できる走行距離は、各レース週末で使用されるパワーユニットの限界を定義する“フェーズドキュメント”と呼ばれるものによって規定され、それはワークスカーとメルセデスのカスタマーチームとで同じだ」「パワーユニットモードは、最初のハードウエアのセットがブリックスワースでテストされた際に定義され、マイレージ制限はロングランプログラムの成功によって決定される。サーキット特有のものもあれば、より一般的なものもある。どちらのモードを使うかは、ドライバーの決定、もしくはエンジニアリングチームのアドバイスによって決まる。どのセッティングにアジャストし、どのモードに切り替えるかは無線でやり取りされる」パワーユニットのセッティングは、エンジンがどのように動作し、電気エネルギーをどのように格納および展開するかを変更する。「内燃機関のパフォーマンスは、例えば、燃焼室内に噴射される燃料の量を変えたり、点火のタイミングを変化させることによって変わる。パワーユニットのハイブリッド側に関しては、モードは120kW(最大)のMGU-Kの展開とMGU-KとMGU-Hの両方のリカバリーのための電気エネルギーの相互作用とスケジューリングを変更する」ホンダは、F1オーストリアGPで耐久性を犠牲にしてでもパフォーマンスを上げる『エンジンモード11、ポジション5』を使用し、高い信頼性を示した。F1イタリアGPで導入が予定されている“スペック4”エンジンで“予選モード”を向上させることができれば、再び勝利を狙うチャンスが訪れるかもしれない。