ホンダがF1日本GPの決勝直前に見舞われたFIA(国際自動車連盟)の急な方針変更は、ホンダとFIAとの関係を大きく進展させることに役立ったようだ。ホンダは、F1日本GPの決勝スタート直前のグリッド上で予選で使用していた“Post shift ignition retard settings”のセッティングを戻すように指示され、計画していた“スペック3”エンジンに役立つ変更を断念しなければならなかった。
FIAは、F1日本GPの決勝に先立って日曜日のお昼にホンダから申請のあった“Post shift ignition retard settings”の変更を承認。FIAの技術代表ジョー・バウアーが承認したことは公式文書にも記されており、ホンダはセッティング変更を却下されたことに“驚いている”と語っていた。ホンダは、決勝直前での土壇場での変更に不満を抱いていたが、その件は変更の目的と影響についての意見の相違によってもたらされたものだった。その結果、ホンダはFIAに決定の経緯を明確化するために手紙を書くことに繋がった。今後、ホンダはF1エンジンのベンチマークであるメルセデスとフェラーリに追いつくために紙一重の境界を攻めていく必要があるが、この件によってルールメーカーと連携していくでの重要な教訓を学ぶことになったという。F1日本GPでの一件についてホンダのモータースポーツ部長を務める山本雅史は「コミュニケーションがいかに重要であることを示すものだったと思います」と Autosport はコメント。「あの場で起こったことは、現在のFIA(ルール)が本当に複雑であることを示しています。ホンダの観点では我々が正しいと考えていましたが、FIAの観点では彼らが正しいと考えていました。我々にはどちらが正しいと言うことはあまりできませんが、それは違いにとって生じたものでした」「鈴鹿での我々のFIAとのコミュニケーションはそれほど正しい方法ではなかったと思っています。ですが、今は全てがクリアになっています。今ではお互いに大きな理解を持っています」ホンダは、パフォーマンスと信頼性はさておき、過去3年間のマクラーレンとのパートナーシップとトロロッソとの大きな違いはコミュニケーションにあったと考えている。山本雅史は、トロロッソとの新しいパートナーシップによって、今シーズンを通してホンダとしてFIAとのコミュニケーションの進め方を学ぶことができたと語る。「今年は基本的にフランツ(トスト/トロロッソ チーム代表)と話をしていました」と山本雅史は語る「フランツは我々にFIA、FIAのリソース、そして、レギュレーションについての状況も提供してくれました。我々が直接話をすることもありますが、レギュレーションの重要な側面に関してチームが我々をサポートしてくれています」直接FIAと話し合いを進める方法における進歩は、ホンダにとって重要な一歩でもある。これまでホンダは日本とヨーロッパの文化の違いによる影響がたびたび指摘されてきた。山本雅史は、これまでの改善には満足しているが、来年レッドブル・レーシングと組むことでホンダとしてより表現できることが不可欠だと考えていると語る。「少なくとも過去3年間と比較すれば、FIAやFOMとの友好や相互関係、コミュニケーションといった部分ははるかに良くなっていると思います」と山本雅史はコメント。「日本人の性格、国民性は、誰かに何かを言うことを少しためらう傾向にあります。しかし、これはモータースポーツです。我々は一緒に勝たなければなりません。それを実現するために我々にはもっとオープンなコミュニケーションが必要です」「我々は自分たちが考えていることをもっと言っていかければなりません。それが重要です」