ホンダF1は、今後もF1エンジンのパフォーマンス開発を強化していく。ホンダは、2015年にマクラーレンのパートナーとしてF1復帰して以降、苦しい3シーズンを送った。そして、昨シーズン限りで事実上マクラーレンから契約を解消され、今年からトロロッソにF1パワーユニットを供給している。
だが、先週末のF1バーレーンGPでは、ピエール・ガスリーが4位入賞。これは2015年にマクラーレンとF1復帰してからのベストリザルトとなった。ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は“今後の開発のためにもっと多くのエネルギーを与えてくれる”結果を望んでいると Autosport に語った。報道によると、ホンダは6月の第7戦カナダGPまでにおよそ27馬力のステップアップを目標にしているとされている。田辺豊治は「開発の観点で言えば、ICE(内燃エンジン)が改善しなければならない最大のコンポーネントのひとつです」とコメント。「我々の開発は信頼性だけではありません。パフォーマンスもあります。バランスポイントを見つける必要があります」「パフォーマンスをあまりにプッシュしすぎて代償を払うこともあります。あるいはあまりプッシュせずに失敗することもあります。難しいです。ですが、我々は両方を達成しようとしています」トロロッソのテクニカルディレクターを務めるジェームス・キーは、ホンダが“野心的な目標を設定している”と語っており、今年は大きな挽回をみせることになると主張している。だが、ホンダはICEの先進の燃焼技術と同様に、V6ターボハイブリッドのエネルギー回生システムも改善させる必要がある。MGU-HとMGU-Kから回収されたエネルギーはバッテリーに蓄えられ、MGU-Kによって1周あたり最高出力120kWを加速に使うことができる。MGU-Hは排気エネルギーによって発電して、その電力を、直接MGU-Kに送る。MGU-Hでの発電量は制限されておらず、バッテリーの充放電エネルギー制限に縛られることなく、エンジンにMGU-Kの出力を上乗せして走ることができる。ホンダのF1パワーユニットは、そのパッケージの限界によって、しばしばストレートスピードで苦しむことがある。田辺豊治は、エネルギー回生システムをどれくらい進歩させられているかを語るのは“非常に難しい”が、バーレーンでは現時点で利用できるパフォーマンスを最大限に引き出す方法を解明したことを示唆した。「土曜日のプラクティスセッションの後、我々のエンジニアがドライバーとシステムの使い方について議論しました」と田辺豊治は説明する。「我々は詳細な戦略を決定しました。バーレーンではそれがうまくいったと思っています」「レースでは2台が完走を果たしました。我々にとってそれは週末で最も重要なことのひとつでした。レースを完走した結果として、我々は4位を得ることができました」ジェームス・キーは、信頼性を“コントロール下に置くこと”がホンダの開発経過において重要になるとし、開幕戦メルボルンでのピエール・ガスリーのMGU-H故障によるリタイアに対するホンダの対応に鼓舞されたと語っている。ホンダF1は、開幕戦のピエール・ガスリーのF1パワーユニットをHRDさくらで調査。ダメージはICEにも及んでいることが発覚し、バーレーンまでに対策が施され、2戦目にして早くもMGU-H、ターボ、そして、ICEを投入。また、対策を施したMGU-Hとターボは万全を期してブレンドン・ハートレーにも投入された。田辺豊治は、問題が“100%解決した”とは言えないが、「我々の情報から、もう解決していると想定しています」と述べた。また、田辺豊治は、マクラーレンとの3年間の問題が、急速な展開を促進する助けになったと付け加えた。「2015年以降、多くの失敗を経験しました。その経験が短時間で問題を解決する助けになりました」