日本IBMは、ホンダがF1パワーユニットの状況を分析するため、 F1マシンのレーシングデータ解析システムの基盤としてIBMの「 IoT for Automotive」を採用したことを発表した。ホンダは、高品質なホンダ車を実現するために、設計・開発を中心にさまざまな取り組みを進めている。2015年からはF1向けパワーユニットの開発が大きなテーマとなっている。
過酷なF1レースでは走行中に、いかに的確に故障予知と残燃料予測を行うかが、大きな課題となっていた。そのためには、各サーキットの現場と、国内の開発本拠地である栃木県さくら市のHRD Sakura、パワーユニットの供給先であるマクラーレンの英国拠点を結んで、パワーユニットの状況をモニタリングし、故障予知や残燃料予測、さらにはレース戦略立案のカギを握る情報の共有を図る必要がった。また、過去の参戦当時に比べると、最新のF1レギュレーションでは、複雑なパワーユニットシステムになったことに加え、現場のスタッフ数にも厳しい制限が課されていることから、少数の現場スタッフを国内の開発拠点から手厚くサポートする必要がった。そこで、ホンダでは、サーキットを走行するF1マシンに搭載されたパワーユニットの状況をリアルタイムに分析する解析システムを導入し、これらの課題解決を目指している。ホンダが導入したレーシングデータ解析ソリューションは、パワーユニットの分析による故障予知および残燃料予測に加えて、走行後にエンジンやモーターの回転数の頻度分布や各車のドライバーによる差異をレポートする。レーシングデータ解析システムのシステム基盤として、F1マシンに搭載された各種センサーから収集したデータを分析し、走行状況をリアルタイムで把握するとともに、パワーユニットの異常を検知。なお、IBMの「IoT for Automotive」には、IBM® WebSphere Application Server、IBM InfoSphere Streams、IBM Cognos Business Intelligenceなどの機能が含まれている。ホンダは、F1マシンのレーシングデータ解析システムを導入することで、 パワーユニットの戦略的なセッティングに取り組む。また、年間約20レースにおいて、トラック・サイドに配置されるサーキット・エンジニアの負荷軽減およびコスト削減を実現した。その結果、開発本拠地におけるパワーユニット開発に、より多くのリソースを投入することが可能になった。