ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、2025年シーズンに直面した課題を受け、冬のオフ期間を通じてチームと密に作業し、2026年に向けた立て直しを図る考えを明かした。2025年は、ハミルトンにとってフェラーリ移籍初年度という節目の年だったが、同時に望ましくない「初めて」も経験するシーズンとなった。上海でフェラーリF1として初のスプリントレース勝利を挙げた一方で、F1キャリアで初めてグランプリ表彰台なしでシーズンを終える結果となった。
また、予選での一発の速さにも苦しみ、SF-25への適応に手こずったことは公然の事実だった。シーズン終盤の3戦では連続してQ1敗退を喫しており、これはマクラーレン時代の2009年以来の出来事だった。オフシーズンでの徹底的な見直し2026年に向けた2年目のシーズンを見据え、ハミルトンはオフシーズンに包括的な改善プログラムを実施する意向を示している。「これまでの歩みを分析して、何が良かったのか、どこを改善できるのかを見極める必要がある」とハミルトンは、メディアに語った。ハミルトンはすでに、改善点を詳細にまとめた資料をチームに提出するなど、フェラーリF1の作業に深く関与してきたことでも知られている。「どこに問題があるのかは分かっている。それをシーズン終了後にチームと一緒に腰を据えて話し合うことが大切だ」と述べ、具体的な修正点についてはすでに共有済みであることを示唆した。さらに、自身の体制についても見直す考えを明かしている。「サーキット外で支えてくれている自分のチームについても、タイミングや移動を含めて、もっと効率化できる点がないかを見直す。同じことをチームともやっていく」2025年の苦戦は想定内だったハミルトンのフェラーリ移籍発表は、2025年シーズン開幕前からティフォシの期待を大きく高めていた。2024年終盤にマクラーレンF1とコンストラクターズタイトルを争ったフェラーリF1の勢いもあり、期待値はさらに膨らんでいた。しかしハミルトンは、内部的には2025年に苦戦する可能性をすでに「想定していた」と認めている。「シーズン終盤に、ここまでの状況になるとは分からなかった。ただ、そうなる可能性は想定していたし、実際にはそれ以上に厳しく感じられた」と振り返った。フェラーリF1は4月の段階でSF-25の開発を打ち切り、2026年F1レギュレーションに集中する決断を下した。この判断について、ハミルトンはシャルル・ルクレールとともに、短期的にはパフォーマンス維持を難しくしたと認めている。「僕はその決断を強く後押しした一人だ。フレデリック・バスールに、2026年に向けた新車開発で他に後れを取るわけにはいかない、と伝えた。学習曲線はとても急だからだ」「タイトル争いをしていなかった状況を考えれば、あれは正しい判断だったと思っている。ただ、その結果として、シーズン序盤にあったパフォーマンスを維持するのが、より難しくなったのも事実だ」ハミルトンは、こうした経験を踏まえたうえで、2026年に向けたフェラーリF1の立て直しに全力を注ぐ構えだ。新時代のF1に向け、チーム全体の行動や体制そのものを変えていくことが、再起への鍵になると考えている。