フェラーリのルイス・ハミルトンは、F1アメリカGPスプリントのターン1で、クラッシュの際に飛んできたカーボンデブリが頭部めがけて飛来するという危険な瞬間に見舞われたが、Haloがそれを弾き飛ばして救った。オンボード映像には、前方で起きた接触事故の破片がハミルトンのマシンSF-25のHaloに直撃し、上方へ弾かれる様子が捉えられている。
ターン1で多重クラッシュ、デブリが直撃寸前ハミルトンはスプリントで8番グリッドからスタート。前方にはランド・ノリス、オスカー・ピアストリ、ニコ・ヒュルケンベルグ、そしてフェルナンド・アロンソらが並んでいた。オープニングラップのターン1では各車が異なるラインを取り、ピアストリとヒュルケンベルグが接触。そこにアロンソも巻き込まれ、ピアストリがノリスに押し出される形となった。この多重クラッシュにより、マクラーレン勢2台とアロンソがリタイア、ヒュルケンベルグも順位を落とした。後方からそれを避けたハミルトンは、カーボンファイバーの破片が頭部を直撃しかねない軌道で飛来する中、Haloが衝突を防ぎ、奇跡的に被弾を免れた。「ドラマを避けられたのは幸運だった」ハミルトンはスカイF1の取材に対し、危険な状況を振り返った。「ターン1の混乱をなんとか避けられた。完全にうまくいったわけじゃなかったけど、アロンソがインにいたのを見て、少し右に寄ってシャルルにスペースを残した」と語った。「まだ改善すべきところは多いけど、スタート自体は良かったと思う」決勝では56周のレースで5番グリッドからスタートする予定で、チームメイトのシャルル・ルクレールは3番手につけている。「3番手と5番手というのは僕たちにとって大きな進歩だ」とハミルトンは続けた。「最後に表彰台争いができたのがいつだったか覚えていないくらいだ。時間はかかったけど諦めずに頑張ってきた。明日は全力で勝利を狙う」Haloが再び命を救う、2021年の惨事を想起今回の出来事は、2021年のイタリアGPでの悪夢を思い出させるものだった。当時、タイトルを争っていたマックス・フェルスタッペンのマシンがハミルトンのメルセデスの上に乗り上げ、右リアタイヤが彼のヘルメットを直撃。Haloがなければ命に関わる事故だったとされている。「あのときも本当に幸運だった。Haloが僕を守ってくれたんだ」とハミルトンはその当時を振り返っていた。「もしHaloがなければ、首を痛めていたかもしれない。あの瞬間、自分の頭がどれだけ前に出ていたかを映像で見て衝撃だった。Haloには本当に感謝している」HaloがF1にもたらした安全革命Haloは2018年にF1で正式導入された安全装置で、チタン製のバーがコックピットの周囲を覆い、飛来物や衝突からドライバーを守る。2009年のヘンリー・サーティースのF2事故、2015年のジャスティン・ウィルソン、そして2014年鈴鹿でのジュール・ビアンキの悲劇を受け、FIAが長年にわたって研究を重ねた結果、Haloが採用された。今回のアメリカGPスプリントでもその効果が改めて証明され、ハミルトンは再びHaloに命を救われる形となった。安全とリスクのはざまで今回のデブリ事故は、F1におけるリスクの現実と安全技術の進化を象徴している。Haloは一部の批判を受けながらも、いまや数多くのドライバーの命を守ってきた装置であり、ハミルトンのケースはその有効性を再確認させるものとなった。経験豊富な40歳のベテランドライバーは、危険な瞬間を乗り越え、再び勝利への意欲を見せている。 この投稿をInstagramで見る Autosport(@autosport)がシェアした投稿